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2010年5月13日

金沢ミステリ紀行2

『金沢W坂の殺人』…W坂の4つの角で4人の大学生が同時に殺された、という信じられない設定の話。
ちなみにW
坂は旧四高の生徒たちがつけた名前らしいです。

『乱れからくり』…からくりづくしの本格ミステリ。大野弁吉について一章さいて書いています。

戸川さんから泡坂さんについて最近亡くなられたが、紋章師であり、ほとんど本職といっていいマジシャンでもあった。乱歩賞とかのパーティで人が集まっていると泡坂さんが手品をしていた。

『死のある風景』…内灘海岸で人が殺されていますが、主に作家ノートを取り上げました。

取材旅行で金沢へ来たが、宿で出されたジブ煮は偽物だったとか、編集者は内灘砂丘の夕日に感動していたが、自分は鳥取砂丘で見たからそれほどではないとか、夜キャバレイとか行かないですぐ寝たとか書かれていて鮎川さんの人柄が伺えました。戸川さんによれば鮎川さんは人が悪いとのことで別の本のあとがきでやはり編集者をおちょくって書いていたとのことでした。

『ボトルネック』…米澤穂信さんは金大文学部出身なので金沢駅はもちろん、杜の里、浅野川などがこの作品には出てきます。

『追憶の夜』…「がきデカ」で一世を風靡した山上たつひこさんが書いたハードボイルドミステリ。

金沢を舞台にしていて、県立図書館が登場します。駐車場が狭いことと、閲覧室内の雰囲気が良いことが書かれています。

金沢を舞台にしたミステリについて心に残る本について語ろう、ということで私はリストの本はほとんど読んでいませんでしたが、やはり『乱れからくり』でした。
戸川さんもほとんど読んでいなくて、『ゼロの焦点』でした。

参加者に振ると一列目にすわっていた高校生は『蛍』を上げました。
それに続く人はいなくて、しかし『乱れからくり』の「四条流の絵」というのが違っている。「四条派」だというご指摘がありました。今回は人数も多すぎて一人一人に聞けませんでした。ミステリが好きな人ばかりでもなかったのでしかたないですね。

せっかくなので戸川さんに対して質問がないか聞いたところ「金沢の印象はどうか」という質問がありました。

戸川さんは金沢は新しいものと古いものが混在していて良い。特にこの本多町あたりが博物館や美術館があって好きな場所だと答えられたような。本多の森ミュージアムウィーク共催行事にピッタリのお答えでした。さすがです。

それに対して金大が角間に移ってから大学生が町にいなくなった。大学生の若いエキスを吸えなくなって残念とヴァンパイアのような意見が返ってきました。昔はもっと賑わっていたという話が出ました。しかし21世紀美術館とかが出来て若い人もたくさん来るようになったからまた賑わって良いという意見も。

あと山上たつひこさんについて、昔は「がきデカ」という子どもの警官のマンガを書いていたが、最近はそのがきデカが大人になって普通のサラリーマンになったマンガを書いている。山上さんが金沢の浅野川の近くに住んでいるとのことで、会ったことはないけど、といかにも会ったことがありそうな人が話してくれました。どうして金沢に住んでいるのかと質問があり、浅野川らへんが気に入ったから金沢に住んでいるのではないかとのことでした。

最後に小説を書くにはどうしたらいいかかなんかそんな質問が出ましたが、詳しいことは忘れました。


投稿者:keita2at 22:50 | お知らせ | コメント(0) | トラックバック(0)

2010年5月12日

金沢ミステリ紀行1

10月3日(土)石川県立図書館県民交流室で
東京創元社相談役の戸川安宣氏をお迎えして
『金沢ミステリ紀行』が開催されました。
 金沢や能登などを舞台にしたミステリの紹介と
戸川さんのコメントと、参加者による文章の朗読で会は進みました。
前日北国新聞に金沢ミステリツアーのことが大きく載ったので、
55人という参加でした。
その中ほとんどの人が北国新聞を読んでの参加とのことで
さすがふるさと不足の解消の新聞です。
 まずは松本清張さん生誕百周年ということで、
 『ゼロの焦点』…朗読がお上手で、夫に失踪された若妻っぼくて良かったです。
 戸川さんが連載された雑誌「宝石」の書影の印刷をご持参くださり、連載の話をされました。
 『ゼロの焦点』は休載も含みながらだらだらと連載され、
同時期に鮎川哲也さんの『黒い白鳥』はきっちりと連載されたそうで、
両作品はなぜか似た展開になったのが
ミステリファンの話題になったそうです。
 また清張さんが多忙のため編集者が取材に行ったのですが、その写真が出ていて、
時代を感じさせるものでした。
 『ゼロの焦点』は最後断崖で決着がつきますが、2時間サスペンスの原点だという話に納得の声と笑いが起きました。
 戸川さんは取材旅行に行くこともあったそうですが、その時は作家と一緒に行ったとのことでした。

 『金沢殺人事件』…内田康夫さんが『死者の木霊』を自費出版した時に戸川さんが書評で大きく取り上げて
それで注目を浴びたという因縁を話されました。
 内田さんはその書評のおかげだとよく書かれているけれど本は送られてきません、と笑わせていました。
 「美術の小径」は実際急な階段なので
金沢ミステリツアーで行く時には被害者にならないように注意してください。

 『ユージニア』…恩田陸さんが成巽閣の「群青書見の間」からインスピレーションを受けて書いたということで取り上げました。
 文庫あとがきで「気持ちが悪い」と書いている「群青の間」を是非見てほしいです。

 兼六園は殺人現場によく使われていそうですが、意外と探すのがたいへんでした。
 木谷恭介さんの『加賀金沢殺人事件』ではことじ灯籠の前で、
津村秀介さんの『加賀兼六園の死線』では栄螺山で人が殺されています。

それに続いて兼六園で盗難が描かれている場面が何の本かをクイズとして参加者に聞いてみました。
 実はそれは泉鏡花の『義血侠血』であっさりと参加者に答えられました。
 前2作と比べて文章がすばらしいです。
 泉鏡花と言えばということで、戸川さんが泉鏡花賞のことを話されました。
 中井英夫さんや日影丈吉さんも受賞されたということで近代文芸館に見に行ったら
特に展示されていなくて泉鏡花賞展の時に展示するということを聞き、
残念だったとのことです。

『銀杏坂』…松尾由美さんは金沢出身で、この作品で市民文学賞を受賞しました。
 この作品は香坂市を舞台にしていますが、兼六園のヤマトタケルの像が出てきます。
 その場面が泉鏡花の「凱旋祭」にも出てきます。
 また辰巳公園という兼六園らしき庭園が出てきますが、栄螺山という実名が使われ、
そこは幽霊と対面するのにふさわしい場所だと書かれています。


投稿者:keita2at 06:08 | お知らせ | コメント(0) | トラックバック(0)

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