2021年7月26日
睡眠時無呼吸症候群の課題
睡眠時無呼吸症候群(SAS)はこれまで検査方法が簡易でなかったため、はっきりした症状のある方だけが検査される状況でした。最近、身体的負担が殆んどない簡易装置が使えるようになり当院でも昨年9月より検査を始めました。先ず動脈硬化の悪化因子が少ないはずの若年脳血管障害の患者さんから行いました。結果はほぼ全例に近い頻度でSASが確認されました。その後、高年齢の脳血管障害の方や夕方の強い眠気、下がり難い高血圧、いびき、心房細動、肥満、小さな下顎などの方へと簡易終夜睡眠ポリグラフィー施行の範囲を広げていきました。やはり高頻度でSASが認められました。SASで程度が強い場合は治療が必要になります。最も有力な方法の一つが持続陽圧呼吸(CPAP continuous positive airway pressiure)です。これは鼻にマスクを装着して器械で気道内に陽圧をかける方法です。この装着が上手く維持できれば即座に無呼吸症状を改善することができます。ただ装着には慣れと時間が必要です。また最初から拒絶的な人もあります。この装着がいかに重要なことなのかは試しに深呼吸せずに1分間息を止めれば実感できます。しかし睡眠中は麻酔のかかったような状態なので痛くも痒くもないのです。想像力をはたらかすことは難しいのが現状です。CPAP導入に成功するための方法を模索中です。SASの知識がもっと知られるようにすることも必要です。SASの患者さんは想像以上に多いように思います。