<< 2021/08トップページ2021/10 >>
2021年9月26日

装置産業と医療


この半世紀の間で医療診断機器の発達はめざましいものがあります。中でもCTスキャンとそれに次ぐMRIは脳神経系疾患には欠かせない重要な診断機器です。少なくともCTスキャンが使えないと医療精度が数段下がってしまいます。ただ高額で維持費もかかるので手軽に導入することに制約があります。現代では診療科にもよりますが医療は装置産業化しているといえます。また装置は陳腐化し劣化していきます。このような場合様々な工夫が行われます。一つは大事に使うということです。不必要な稼働は避け機器に負担を掛けないようにします。CTの使用では頭部に関しては両方可能ですがヘリカル法でなくコンベンショナル法を原則採用しています。コンベンショナルスキャンは空間分解能が高く低い線量で撮像できるため人体への照射線量を減らしCTスキャナーの負荷もへらします。約1/3の線量で撮像できるのです。 ヘリカルスキャンで高画質を得るにはS/N比を高くする必要があり高線量になります。また機器の持っている機能を最大限使うことも重要です。当院のCTスキャナーのスライス幅は0.625mmです。この薄さであれば、どのような方向角度の断面を再構成しても画質の劣化がありません。通常は軸位でのスキャン後、そのデータを使い冠状断(前から見た断面)矢状断(横から見た断面)の画像を作成しています。この方法を一般では未だルーチンに行っている施設は見かけません。3方向からの判読によって診断を的確にすることができるのです。機器の進化は留まることががありません。遅れないようにすることに大きなプレッシャーがあります。 

投稿者:KUSUat 12:40 | 日記

2021年9月14日

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と新型コロナウイルス感染


睡眠時無呼吸症候群(SAS)での酸素飽和度は起きていれば正常値だが眠ると90%以下に低下する。現在、新型コロナウイルス感染(COVID-19)では90%を切ると重症化したとして入院治療が積極的に考慮されている。この場合の酸素飽和度は睡眠時のものではない。SASの人が新型コロナウイルス感染すると睡眠時に極度の低酸素状態に入ることになる。SASの頻度は従来考えられていたよりは高齢化、社会生活の過栄養化、安価なアルコール飲料、下顎骨の狭小化などにより上昇し極身近なものになってきている。未発見のSASの人がCOVID-19に罹患した時、起きている時間の酸素飽和度90%以上で軽症と分類された場合、きわめて危険な状況に陥ってしまうことになる。自宅待機等で夜間急変するのはSASが関与していると考えると理解しやすい。肥満がリスクと言われるのは横隔膜挙上や循環器系の負荷も考えられるがSASにも注意が必要と思われる。仮にSASと考えて見込みでCPAPを使用するのはどうなのだろう。咳がひどくなければ使用は困難ではないと思われる。高濃度酸素でなくても換気改善で酸素飽和度は上げることができる。また横から酸素を投入すれば簡易型の追従式人工呼吸器と考えることも可能だと思われる。人工呼吸器やNHF(ネイザルハイフロー)のように管理に人手がたくさん必要なことはない。素人の患者が一人で使うことができるとおもわれる。通常CPAPの導入は様々な不満でうまくいかないことがあるが生死が掛かっていれば真剣にアダプテイションしていくと思われる。CPAPの試験的な使用やSAS高頻度群の検出チェックリストの早期作成利用が必要と思う。 

投稿者:KUSUat 23:37 | 日記

2021年9月9日

脳血管障害でルーチンで終夜睡眠ポリグラフィーを


多発性脳梗塞は主幹脳動脈から出る穿通枝の閉塞で起きるラクナ梗塞や主幹動脈から距離がある末梢部での多発性の虚血を表現する言葉です。 多発性脳梗塞は主幹動脈のプラークによる狭窄から進展する脳梗塞とは違う病態です。ラクナ梗塞は高血圧が関係すると考えられ、予防には血圧コントロールと抗血小板薬のシロスタゾールが使われます。ただ血圧があまり高くないのにラクナ梗塞があったり、MRIのフレアー画像で皮質下に複数の虚血を表す白斑が認められることがあります。このような例で簡易終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)を行うと重度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)であることが分かりました。最近、該当する3人の多発性脳梗塞の患者さんでPSGをすると3人全員がSASで驚きました。半年前は脳幹部梗塞の患者さん3人がSASであることがわかり全員CPAP(持続陽圧呼吸)を導入しました。夜間の過酷な低酸素状態は最小動脈レベルの血管を損傷するのではないかと考えられます。現在使われる簡易PSGは身体的な負担が全くありません。簡易PSGを脳梗塞患者でルーチンに行うとより医療精度が上がると考えられます。

投稿者:KUSUat 22:25 | 日記

<< 2021/08トップページ2021/10 >>
▲このページのトップへ