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2023年5月21日

脳神経外科コングレス プレナリーセッション


良性腫瘍 先ず下垂体腺腫がありますが、現在は腺腫として扱うのでなく腫瘍とみる考え方に代わっています。Pituitary Neuroendocrine Tumor(PitNET)という呼び方になっています。腫瘍は偽被膜に囲まれて存在することが約5割で、これまで被膜内の腫瘍摘出が行われていましたが被膜内にも腫瘍細胞がその4割に認められます。被膜も摘出することで内分泌的寛解率が高くなります。また海綿静脈洞内側壁にも6割で腫瘍細胞が認められるのでこれも摘出するのが良いのですが出血で困難になることがあります。また海綿静脈洞内の腫瘍を摘出するのはリスクを伴いますので例外的な熟達者しか出来ないと思います。プロラクチン産生腫瘍は薬物療法が第一選択でカフェルゴットが使われますが根治を目指すのか症状をコントロールするのか目標を決めて使用することが重要です。2年以上5年は使用します。この薬剤は病的賭博、性欲異常亢進をきたすことがあることを念頭におき使用します。心弁膜症はパーキンソン病での使用量に比し少量ですので起きることは少ないと思います。この腫瘍は出産、閉経でサイズを小さくする事が有ります。成長ホルモン産生腫瘍や甲状腺刺激ホルモン産生腫瘍なども薬物療法が考えられています。 頭蓋咽頭腫は全頭蓋内腫瘍の3.5%ですが発病は小児期と成人期の2峰性を示します。視力障害や水頭症には手術が第一選択となります。最近は内視鏡下経鼻手術が中心で、取り残しは定位的放射線療法(SRS)で対処します。

投稿者:KUSUat 22:55 | 日記 | コメント(0) | トラックバック(0)

2023年5月9日

パーキンソン病の対応


QOLを考慮したパーキンソン病(PD)治療 仙台西多賀病院 武田篤先生 PDは65歳から急増する疾患で、現在の世界的な高齢化の中でパンデミックな拡大をみせています。高齢者のPDは高齢発症の患者及びPDのlate stageにある患者を診ることになります。 運動症状がより重篤で進行が早い。すくみ、姿勢保持障害、転倒、嚥下障害のリスクが高い。抑うつ不安などの情緒障害が目立つ。認知機能障害があり幻覚・妄想が増加する。以上のような特徴があります。抑うつ、不安とADL障害が特にQOLに影響します。MAOB阻害薬ラサギリンは不安、抑うつ、アパシーにも効果します。ただ、うつ症状が強い時はSNRIを使うのがよいのですが、この時はMAOB阻害薬は併用禁忌です。認知症のある時アリセプトを使いますが同時に便秘、疲労感、めまいにも効果を示します。運動はPD治療に効果があり体操、ダンス、武道などもお薦めです。 

投稿者:KUSUat 12:30 | 日記

2023年5月1日

脳卒中学会シンポジウム(2)




シンポジウム抗血栓薬の使い方 非心原性脳梗塞において急性期の再発が多く直ちに抗血小板薬の投与が望ましい。効果発現時間はアスピリン30分〜60分クロピドグレル3日〜7日シロスタゾール3時間といわれ、アスピリン初回投与160mg〜300mgを開始する。効果を高めるため更にもう一剤使うDAPT(2種の薬剤による抗血小板療法)を行う。ただし3ヶ月以上の使用は効果より出血のリスクの方が上まわることが分かってきた。またDAPTは長期では単剤にまさるわけでなく出血リスクを考えると中止し単剤にすることが望ましい。ただ不安定プラークに対してはDAPTは長くする必要が有る。シロスタゾールは出血を増やさないことが知られている。シロスタゾールは抗血小板作用の他血管拡張や降圧作用もあわせもっている。クロピドグレルは不応性の人がいるが新たに出たプラスグレルはそれを考慮する必要がない。データの蓄積により選択肢が広がることになると思われる。心原性脳血栓症で急性期の抗凝固療法でワーファリン、DOACは効果は同等であるがDOACにおいて頭蓋内出血や死亡率が少ない。また発症3日目までと4日以後の開始で安全性は変わらない。またDOAC下でのTPA療法は可能である。慢性期の抗血小板薬使用は頭蓋内出血、消化管出血のリスクを上げるが注意が必要である。抗血栓症薬はアミロイドアンギオパチーや頭部打撲、活動性出血の場合は使用不可である。ワーファリンはDOACの3倍の出血リスクがあると言われている。DOACの使用も腎機能や年齢等を考慮し投与量の調節を行い出血イベントを抑える努力がなされている。

投稿者:KUSUat 09:01 | 日記

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