2024年4月18日
パーキンソン病セミナー(精神症状)
パーキンソン病に伴う精神症状のマネジメント 伊敷病院理事長 植村健吾先生 パーキンソン病に伴う精神症状は病初期あるいは前段階より出現してきます。不安症であったりうつ状態アパシーなどを呈します。病理学的変化は脳幹より大脳へと進展し症状は顕著となってきます。パーキンソン病治療は運動症状改善に主眼をおくことが多いのですが抗パーキンソン薬は精神症状の悪化を引き起こす傾向にあります。治療的には運動症状と精神症状はシーソーの関係にあり精神症状が強い場合は抗パーキンソン薬を減らし精神症状の改善を図らないと上手く行かないことがあります。精神症状を改善し意思疎通を図ってから運動症状の修復を目指します。薬剤では非定形的向精神病薬のセロクエルや抗認知症薬のリバスチグミンなどを使います。どの抗パーキンソン薬も精神症状を出す可能性があります。なかではL-dopaは最も精神症状が少ないので最後まで残すことになります。ただ最近使われるようになったL-dopaの24時間持続投与は通常経口投与が2/67に対し11/74で幻覚が出現し易いといわれます。幻覚があっても気にならないようであればそのまま様子を見ます。ケアの面でいうと身体症状と精神症状では後者が余程困難ですので身体症状を後回しにして精神症状を優先して対処します。幻覚症状にたいしては非定型的向精神病薬が有効ですが不眠の改善も有効でゾルビデムやクロナゼパムが使われます。この剤はドーパミンを増やす作用があると言われています。