2015年8月23日
最近の高血圧治療
血圧治療 βブロッカーの位置づけ
自治医科大学 苅尾七臣教授
血圧、心拍数には個人によって特徴があります。
夜間血圧を測定すると普通は日中血圧より1〜2割減少します。これが極端に低下するタイプや上昇するタイプは血管性疾患のリスクが上がります。
睡眠時無呼吸発作の場合、急激な上昇を示しますが、βブロッカーで抑制できます。
血圧上昇は脳、心、腎、眼の動脈に障害を与えます。特に早朝高血圧には注意が必要です。
血圧の変動には日内変動、日間変動、季節変動、気温感受性による変動があり、これら複数の変動の重なり(共振)がダイナミックサージをおこし、イベントが発生します。冬期は夏期の1.5倍の血管性イベントが起きます。
βブロッカーは心不全、頻脈、狭心症、心筋梗塞後の治療に使われます。
高齢者の頻脈では脱水、不眠、睡眠時無呼吸、甲状腺ホルモン高値の有無を確認してから使う注意が必要です。若年者の頻脈には肥満、睡眠時無呼吸の関与を念頭に置く必要があります。
心不全にはRA系降圧剤、利尿剤、βブロッカーの組み合わせが生命予後を改善します。βブロッカーでは心拍数を50~60/minを目安に調整します。
βブロッカーの降圧効果は75/minを境に心拍の高い人で良く下がります。
高血圧の治療は個別的であるべきで、家庭血圧の変動がイベントとどう関わるかを考察するべきである。
起立性高血圧は動脈硬化を反映しており、ラクナ梗塞を生じやすい。