<< 2016/01トップページ2016/03 >>
2016年2月27日

北陸神経疾患研究会 (1)




パーキンソン診療のピットフォール 
自治医大ステーション・ブレインクリニック
藤本健一先生
パーキンソン症候群には多系統萎縮症(MSA-P)、進行性核上麻痺(PSP)、大脳基底核変性症(CBD)、正常圧水頭症(NPH)、薬物,脳血管障害性パーキンソニズムなどがある。
(1)診断について
それぞれ特徴があり参考になる。MSAは左右差が少なく、首下がり現象(3から5割)がある。 PSPは抑制が効きにくく、びっくり顔が印象になる。 CBDは大脳皮質の左右差が著明でL-dopaの効果がない。脳血管障害性は左右差少なく下肢から始まることが多く、振戦が少なく歩幅が広い。薬剤は左右差なく、振戦少なく下肢の症状が主になる。口唇ジスキネジアを認める。検査では心筋MIBGを信じ過ぎないようにすること。最近ではDAT-SCANが使えるようになりPETによるものはより高い感度がある。

投稿者:KUSUat 23:24 | 日記

2016年2月16日

痺れの話(5)




中枢神経(脳、脊髄)のレベルでの痺れは障害部位により症状の範囲が異なってきます。
知覚の情報が脊髄に入って脳に伝わる経路は知覚の種類によって違うのです。
温痛覚の情報は脊髄の外側後方から脊髄に入りそれから反対側にある外側脊髄視床路へ行きその中を上行して最終的に大脳の視床後外側腹側核に至ります。そこで中継されて大脳中心後回の一次性感覚皮質に到達します。
一方、深部・固有感覚を司る神経線維は脊髄外側後方から脊髄に入り脊髄背側中央にある後索の同側を上行し延髄で反対側の延髄前方内側にある内側毛帯にはいってさらに上行して大脳視床後外側腹側核に入り、そこから一次性感覚皮質に中継されます。
このように体性感覚の種類によって脊髄内、脳幹内での通路が異なるため障害部位により特徴的な症状がみられます。
脊髄の半側損傷では障害部以下の同側の深部・固有感覚鈍麻、反対側の痛温覚鈍麻、同側の運動麻痺が出現します。
脊髄の中心部の障害では、深部・固有知覚鈍麻は出ず脊髄の同レベルに応じた両側痛温覚鈍麻を生じます。脊髄を横断する障害では障害部位以下の全知覚が鈍麻します。
脳幹部における障害の場合も障害の範囲がどの知覚の通路を巻き込むかによって症状が異なり、逆に症状の違いによって障害部位を特定できることになります。

投稿者:KUSUat 00:11 | 日記

2016年2月9日

慢性硬膜下血腫 薬物療法




慢性硬膜下血腫は頭部外傷後数週から数ヶ月後に症状が出現する病気です。
脳と頭蓋骨の間にスペースがあると外傷時、クモ膜が裂けクモ膜と硬膜の間に髄液が入り込みそれによって皮膜が形成されます。この皮膜からの出血が慢性硬膜下血腫を作っていきます。
大きくなると大脳を圧迫して頭痛、麻痺、認知症状、失禁等様々な症状が出現します。場合によっては意識障害、呼吸停止に至ることもあります。
診断は疑いがあれば頭部CTを行うことで確定できます。
経過は自然に改善するものもありますが、症状が出現したものは比較的簡単な手術で多くが改善します。
近年薬物による治療も取り入れられてきました。イブジラスト(ケタス)の服用や漢方の五苓散による治療も報告されています。ただ経験からいうと出血が新しいものは制御しにくい印象があります。五苓散を使用していて血腫の拡大があり手術となった例を経験しています。CTも発症初期はあまり間をおかない方がよいと反省されました。
通導散は皮下出血や脳内血腫の吸収を促進することが知られています。今回は比較的新しい出血の慢性硬膜下血腫で五苓散と通導散を使用し、14日間で消退していった症例を経験しました。

投稿者:KUSUat 23:39 | 日記

<< 2016/01トップページ2016/03 >>
▲このページのトップへ