<< 2016/02トップページ2016/04 >>
2016年3月4日

講演会 慢性疼痛




運動器慢性疼痛管理の戦略
福島県立医科大学整形外科 紺野愼一教授
痛みは肉体的、精神的、社会文化的要素が絡んでいる。慢性疼痛を持つ人は22%あり、腰部65%、肩55%ついで膝の順で多い。治療に対する満足度は30%である。疼痛が発現する部位で分けると侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、非器質性疼痛に分かれる。
慢性とは3ヶ月以上続くものをいう。
慢性疼痛では脳の側坐核の萎縮を認める。
脳の前頭前野、前帯状回、側坐核は本来快感をつくり出すドーパミンシステム(Mesolimbic dopamine system)でこの機能低下は下行性抑制系の機能低下を生ずる。脳性疼痛では88%に脳血流低下を認める。
慢性疼痛をきたす人では脳の器質的障害を認めるものが多い(MRIで81%に発育不全、脳波で91%に異常、発達障害が31%など)。
慢性疼痛の目標は7割程度の症状改善にとるのがよい。生活ではウオーキング、睡眠、趣味活動を心懸ける。薬剤としては第一薬は三環系抗うつ薬、プレガバリン,ガバペンチン。第二薬はSNRI、ノイロトロピン、メキシレチン。第三薬はオピオイドである。
BS-POPで評価すると高値の人は手術がうまくいっても症状改善が少ない。このような場合は精神科との連携が(リエゾン診療)が必要となる。構成は身体表現性64%性格異常11%うつ病10%不安障害8%統合失調症3%の比率であった。

投稿者:KUSUat 23:37 | 日記

2016年3月2日

北陸神経疾患研究会(2)




パーキンソン診療のピットフォール
自治医大ステーション・ブレインクリニック
      藤本健一先生
(2)治療について
パーキンソン病の薬物療法の最も基本はL-dopa製剤です。単剤だと吸収代謝が速すぎて血中濃度を維持できないためカルビドパやベンセラジドを付加した製剤になっています。前者は血中濃度の上がりが緩やかです。後者は立ち上がりが早く比較的早く下がります。服薬量が増えると濃度のピークが不随意運動がでる領域に達します。ピークをさげるには前者が適しているといえます。またエンタカポンを加えることで濃度上下の大きさを緩やかにすることができます。
L-dopaの効果を早く得たいときは空腹で200ml以上の水でのむと上部小腸に達します。食事にタンパク質が多いと吸収が阻害されます。バナナも吸収に影響します。生活、年齢で吸収が変わることを念頭におく必要があります。
L-dopaは適切量で使用することが大事です。全国的に使用量を調べてみると北陸地方は少なめのようです。パーキンソン病は血圧が下がってくる病気なので経過をみる場合血圧もチェックします。
幻覚妄想には抗うつ薬のテトラミドやレスリンが鎮静作用があり有効です。夜間譫妄にはレスリンは3時間でピークになり半減期が8時間なので夕食頃の服用が合理的です。抑肝散やコリンエステラーゼ阻害薬(アリセプトなど)も有効です。
進行性核上麻痺(PSP)の歩行障害にセデイールが効果することがあります。
すくみ足にはカニ歩き、後に一度下がってから前進、横棒のある特殊な杖、ポール歩行でリズムを作る、普段と違うことをするなどでうまくいくことがあります。薬剤はプラセボでも効くことがあるため単純に評価しないスタンスが必要と思われます。

投稿者:KUSUat 21:29 | 日記

2016年3月1日

痺れの話(6)




薬剤による痺れ
薬剤は知覚神経の障害を引き起こすことがあります。特に脊髄に信号が入る経路の後根部分にある後根神経節細胞は障害されやすく抗がん剤(ビンクリスチンやシスプラチンなど)やアクリルアミドが注目されています。障害は神経細胞体から遠い末梢から進行して来ます。
アクリルアミドは発がん性の点で話題になっています。日常的には焦がした食べ物一般には殆ど入っていて人類は古来より摂取していますが通常の量では発がん性を証明されてはいないようです。ただ神経障害については発がん性ほどには注目を集めていないので未だ分からないとしておいた方がよいでしょう。
薬剤性障害で有名なのはキノホルム(現在は使われていない)で中枢側の神経軸索にも変性を起こしました。それぞれの薬剤で異なるため、特徴を捉えておく必要があります。

投稿者:KUSUat 08:39 | 日記

<< 2016/02トップページ2016/04 >>
▲このページのトップへ