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2016年4月21日

学術講演会 脳卒中後のうつ




脳卒中後うつの診断と治療 
獨協医科大学神経内科
平田幸一教授
うつは内因性うつ病、反応性うつ病、身体因性うつ病、神経症性うつ病に分類される。神経疾患では脳卒中、てんかん、パーキンソン病などに伴うといわれる。
脳血管障害に関連するうつを血管性うつ病(vascular depression)と表現することもある。このタイプのうつは老人においてこれまで過少評価されてきた。この特徴は大うつ病のような自殺念慮が少ないということがある。
脳卒中後の状態ではアパチー(無気力、無関心、やる気のなさ)が40%、うつ状態が20%の割合で出現する。前者は女性に多い傾向がある。
このうつの治療ではSSRI,SNRIまたはミルタザピン(NASSA)が使われる。ミルタザピンは15mg/dayでは不安、不眠を改善し、30mg/dayでは意欲低下、喜び感の低下に効果がある。また高齢者での使用で副作用が少ない。

投稿者:KUSUat 22:58 | 日記

2016年4月11日

日本神経学会近畿地区生涯教育講演 (2)




アミロイドニューロパチーについて
熊本大学医学部神経内科 安東由喜雄教授
家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)は主にトランスサイレチン(TTR)遺伝子変異が原因で起こる予後不良の遺伝性疾患である。末梢神経にアミロイドが沈着してポリニューロパチー(多発性神経炎)を起こすタイプが圧倒的に多いが、心臓障害型、脳アミロイドアンギオパチー型(脳出血をきたす)、老人性全身性アミロイドーシスもある。
TTRは血中の95%が肝臓で産生されるため、肝移植が有効なことがある。ただ残りの網膜色素細胞や脈絡叢で産生されることには効果がない。またドナー不足の問題もある。
自律神経障害は小径線維ニューロパチーである。自律神経障害は心筋MIBGが診断に有用である。
老人性アミロイドーシスは脊椎管狭窄、手根管症候群をきたす。

投稿者:KUSUat 23:15 | 日記

2016年4月8日

日本神経学会近畿地区生涯教育講演




中枢神経系感染症の最近の救急治療
        日本大学医学部亀井聡教授
初期治療が迅速であることが転帰に大きく影響する。細菌性髄膜炎を疑った場合は1時間以内に抗生剤を開始する。血液培養は必ず2セット取っておく。腰椎穿刺は脳ヘルニアの可能性有れば禁忌となる。起炎菌がわかれば最適抗生剤に変える。ステロイドの併用は新生児、外科的侵襲以外では有用である。耐性菌についての考慮は常に必要である。結核性のものは脳底部で炎症が強く、脳神経を障害する。また血管炎をきたすのでステロイドを併用する。
単純ヘルペス脳炎は急性ウイルス脳炎が疑われたら血清上や画像上の証明がされていなくてもアシクロビル投与開始する。ステロイドの使用が必要である。
抗NMDA受容体脳炎は若年女性に多い。風邪の前駆症状、精神症状で発症する。卵巣や縦隔の腫瘍+ウイルス感染が原因でステロイドパルス療法、免疫グロブリン大量療法、血漿交換療法がとられる。腫瘍は小さくても外科的に除去する。
エンテロウイルスD68による急性弛緩性麻痺(AFP)では脊髄MRI異常は76%にみられる。咽頭ぬぐい液からのウイルス同定が必要である。

投稿者:KUSUat 23:18 | 日記

日本神経学会地方会 大阪




機能的脳神経外科の現状
札幌医科大学脳神経外科 三國信啓教授
脳腫瘍特に神経膠腫の場合などは摘出範囲について様々な面から考える必要がある。およそ75%取れれば手術の意味があるといわれるが広汎に摘出できればよいのは言うまでもない。しかし、重要な機能の部分は極力避けなければならない。そのためには脳内の機能局在とその神経連絡経路を前もって確認しておきたい。そのために脳のネットワークをtract graphyで三次元的にMRI画像上に表現し摘出範囲を決定し、ナビゲーションシステムと連動させる。摘出しても機能が残るのは小脳が多い。神経膠腫は術直後、機能が低下していても三か月で回復することがある。

投稿者:KUSUat 21:13 | 日記

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