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2016年5月30日

講演会 睡眠薬の話




不眠治療を紐解く   国立精神・神経センター
     精神生理研究部 部長 三島和夫先生
睡眠薬は成人の5%の人が常用しており、宇宙飛行士では60〜70%が使用しています。
日本人では長期服用の不安を持つ人が多いようです。薬物だけではなく認知行動療法をあわせ行うこともあります。
不眠対策の原則は早寝を避け、長寝をやめ、昼寝をしないことです。眠気が出てから寝床に向かうのです。昼寝はしても20分以内、早い(午前中)昼寝も可です。
ベンゾジアゼピン系の薬剤はこれからは高齢者には最初に使わないようにします。認知機能への影響もあり、また習慣性を獲得しやすいためです。ただ、これまで使っていて量も多くなく、増えていくことがなければそのまま使うこともあります。
急激な減量は反跳現象があり注意が必要です。老人ではロゼレム、ベルソムラなどの他系統の薬で先ず合わせてみるのがよいと思われます。
睡眠薬服用によるふらつき転倒骨折は飲み始め1ヶ月に多く服用後3〜4時間に起きやすいようです。ただし、不眠症で服薬していない場合がの方が転倒しやすいとの報告があります。
ベルソムラのふらつき出現はマイスリーより少なく、マイスリーはベンゾジアゼピン系よりは少ないという関係にあります。ベルソムラは中途覚醒に効果があります。
以上のことを踏まえながら薬剤の選択をします。

投稿者:KUSUat 08:33 | 日記

2016年5月22日

新型CTの導入(1)




CTスキャンは頭部疾患では必須の検査機器です。
頭部を輪切りにした断面像を得ることができます。
原理はエックス線が身体を通過する時、密度の違いによって透過線量が異なることを利用します。身体組織の密度分布は角度を少しづつずらして放射線を身体に透過させ、その減衰を測定し複雑な計算で得ることができます。身体を中心にビーム状の放射線源を回転させ対側で線量測定をすることを積み重ねる方法がとられています。
CT機能の進化で断層スライスの厚さが1mmをきるまで薄くできるようになり、輪切り像だけでなく縦切り(矢状断シジョーダン)横切り(冠状断)や様々な角度の精細な画像の作成が可能となりました。これらの画像を総合することで診断能力が更に高くなりました。
撮影方法は2種類あり、ある幅で区切りながら撮影しそれをつないで画像をつくるコンベンショナル スキャンと後で開発されたヘリカル(スパイラル)スキャンがあります。後者は身体を軸方向に連続して動かしながら撮影します。後者の利点は短時間で撮影できることで呼吸運動など長時間停止できないので胴体部分の撮影に使われます。頭部はほぼ静止状態で撮影できるため実績の確定しているコンベンショナル スキャンでとることが多いようです。

投稿者:KUSUat 20:17 | 日記

2016年5月1日

薬の話(1)




薬は医療においては極めて重要な役割をはたしている。薬を通じてしか治療の方法がない疾患も多い。
しかし、薬については思い込みや誤解の多いのも事実である。薬の効き目とはどのようなものなのだろうか。偽薬効果(プラセボ効果)を考えると患者の自覚や現場医師の判断だけに頼っては正当な評価は難しい。
医薬品では二重盲検法(患者も医師も本物偽物が分からない設定で行う)で評価し本物が偽物を統計的に上回る効果を示した時に初めて正当性が認められる。
それでもデータの改竄(かいざん)を完全に防ぐことは難しいことがある。
診療中、健康食品と称する薬の可否について尋ねられることがあるが、それらは勿論そのような証明はなされていない。
証明するには大きな資本力と知識がいるがそれらを揃えるのは難しい。法的には個人的な感想としか表示できない理由があるわけです。ただ、買うほうは薬としての効き目を期待して高額な「食品」を購入しのんでいることになります。正確には効くかもしれず効かないかもしれないのです。加えて副作用の調査はされていないので運が悪いと体に害が及ぶことはあり得ます。商品としての健康食品は本当に効果が少なく、副作用も少ないのが優秀な商品であるというパラドックス(逆説)が成り立ちます。
薬物は効果の強いものほど副作用の発現率は高くなる傾向があります。これは当然で少量で強力な薬理作用のある薬剤は量を間違えるととんでもないことになります。薬は服薬量、服薬期間,摂取方法に注意が必要です。
我々が副作用といっているのは、我々が期待している効果以外の薬理作用を指します。たとえばアレルギー反応の薬は眠気を副作用として伴いますが、眠る前にのめば不眠の人にはついでに眠くなります。しかし眠り薬は作用時間も考えて作られていますが、抗アレルギー薬はそのような考慮はないので薬の特徴を把握しておく事が大事です。
最近は調剤薬局で薬を受け取ることが多いと思われますが、薬剤師さんに聞けば効果時間についての説明など詳しい知識を得ることができると思います。

投稿者:KUSUat 20:14 | 日記

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