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2016年12月23日

講演会 高コレステロール血症


高コレステロール血症治療の話。 金沢大学名誉教授 馬淵宏先生  私が研究を始めた頃はコレステロールの高値の意味付けは未だよく分かっていなかった。中でも特別高い値を示す者があり、これは優勢遺伝であることが分かっていた。北陸における家族性高コレステロール血症(FH)の調査研究より私の医師研究生活ははじまった。高コレステロールの身体的特徴は腱(手背、肘、膝)にできる腱黄色腫や皮膚結節性黄色腫であるが、私はアキレス腱の肥厚に気づいた。これらの所見は家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体診断基準にLDL-C180mg/dL以上、2親等以内の早発性冠動脈疾患の家族歴とともに入れられている。ネフローゼや甲状腺機能低下症による二次性高コレステロール血症ではアキレス腱黄色腫は認められない。ヘテロであってもスタチンが出るまではFHでは女性で30歳男性で50歳から心筋梗塞を起こしてくる。ただし脳梗塞は多くならなかった。スタチンによって冠動脈疾患は30%低下する。しかし残り2/3のリスクはどうさげるのか。LDL値50mg/dL以下HDL値150mg/dL以上が考えられている。前者はヒトPCSK9モノクロナール抗体製剤で達成されるようになってきた。HDL値を上げる薬剤はまだ具体化されてはいない。

投稿者:KUSUat 20:43 | 日記

2016年12月22日

講演 インフルエンザの話


今シーズンのインフルエンザ対策 臨床内科医会特任理事 岩城紀男先生  感染予防には部屋を別にする、部屋を22℃以上にする、湿度を50%以上に保つ、感染者の使用物は廃棄や洗濯する、換気する、滅菌する(紫外線、消毒)、睡眠と栄養をとるなどです。ワクチンは午前中に接種したほうが抗体価が高くなる。ワクチンはA(H3N2)の変異は少なく小児を中心に効果が比較的大きい。A(H3N2)は変異が大きく株が一致しなくて効果が小さい。B型のワクチンは効果が小さい。ワクチンは重症化を防ぐ。クラリスロマイシンを使用すると気道粘膜の損傷を軽減できる。 新型インフルエンザについて 石川県医師会理事 高田重男先生 パンデミック(世界流行)ウイルスの伝染性は高いが、病原性は低いと考えられる。ハイリスク群は65歳以上、COPD、喘息、新心血管疾患、慢性腎、肝、血液、代謝疾患や神経筋疾患、免疫抑制状態、長期療養施設入所者、極度の肥満、アスピリン長期投与、癌患者、妊婦などである。治療はできるだけ早期の抗ウイルス薬の使用である。

投稿者:KUSUat 23:59 | 日記

2016年12月4日

薬の話(7)認知症周辺症状の薬剤


BPSD(Behavioral and Psycological Symptoms of Dementia)は認知症において出現する周辺症状のことを指します。具体的には妄想、昼夜逆転、幻視・幻聴、暴言、暴行、介護への抵抗、不潔行為などがあります。薬剤には向精神病薬が使われることがあります。ただ本来、精神病に対して使用される使い方は参考にならないことがあります。特に用量の注意が必要です。認知症で使われる場合はきわめて少ない量で使うことを心掛けるる必要があります。高齢者では代謝能力(肝機能、腎機能)が低く異常に体内蓄積してしまうからです。向精神病薬は単純にいうと元気がなくなり「ふにゃっ」とさせてしまう薬剤なのです。寝たきりを薬剤でつくり出してしまうことにもなりかねないのです。長期に続けると薬剤性パーキンソン症候群を引き起こすこともあります。そのため最小容量の錠剤をさらに半分にしたり1/4錠にして調節することもあります。漢方薬ではそのような心配はないので幻覚などには抑肝散や抑肝散加陳皮半夏を使い効果を出すことがあります。ただ、これらの漢方薬は甘草を含むので特に老人に起きやすい偽アルドステロン症(高血圧、低カリウム血症)の注意が必要です。幻視で怖い物が見えて落ち着かない方では抗うつ薬がある程度効果します。機序は正確には分かりませんが、抗うつ薬の抗不安作用で出現する幻視が怖いものでなくなってきます。いわゆる安定剤は朦朧となることがあり使用しないようにしています。眠剤も最近出たロゼレムのような自然の眠りに近い薬剤のほうが良いように思います。

投稿者:KUSUat 20:38 | 日記

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