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2017年1月25日

講演 腰痛について


これからの腰痛マネジメント東京大学医学部卑属病院22世紀医療センター松平浩特任教授 多くの人が腰痛で悩んでいますが安静では改善しません。長引く腰痛の多くは脳が関係しています。痛みの感じ方は脳が決めているのです。ストレスがあったり恐怖が強いと痛みはひどくなります。画像検査でなんらかの所見(骨の変形、関節がすり減っている、ヘルニアがある、すべり症がある)があるといわれると怖くなり負担をかけないように体を動かさなくなります。不安にとらわれ、うつ状態になります。いづれも痛みを過剰に感ずることになり、ますます安静を保ってしまいます。全身運動は神経伝達物質のドパミン、セロトニン、内因性オピオイドを増やし痛みを軽減します。悲観的に考える脳は痛みを長引かせ痛みの悪循環を起こします。急性期の安静は従来考えられていたより随分短くてよく、長期的痛みでは安静がむしろ回復を妨げていたことがわかってきました。長期的痛みに抗うつ薬が効果するのは不安感を減らし恐怖による運動回避を減らし、また脳の下行性疼痛抑制系を正常化するからです。腰痛の予防には腰椎、特に椎間板の負担を軽減していく必要があります。現在マッケンジー法に基づいた「これだけ体操」(私が名付けた)を勧めています。

投稿者:KUSUat 20:03 | 日記

2017年1月8日

薬の話(8)てんかんの治療


てんかんの治療の基本は薬剤によるコントロールです。1剤を投与し効果を判定していきます。最初は少量より開始しますが十分量までゆっくり増やしていきます。少量で効果を認める場合もあります。少量で効かなくても副作用で服用できなくなる手前まで増量して効果判定しなければなりません。全般発作ではバルプロ酸、部分発作ではカルバムアゼピンなどが推奨されています。発作型によって使用薬剤を選びます。第一選択薬が無効な場合や副作用で使えない時は第二選択薬を考えます。全般発作の欠神発作ではラモトリギン、エトスクシミド、強直間代発作ではラモトリギン、フェノバルビタール、ミオクローヌス発作ではクロナゼパムが推奨される。部分発作ではレベチラセタム、ラモトリギン、ゾニサミド、バルプロ酸がある。薬剤の開始は2回目の発作から考えるべきである。なぜなら65%が5年以内の発作がないからである。治療の中止は成人では決まった目安は存在しないので社会的状況も考慮しながら判断せざるをえない。血中濃度検査は少ない量でもコントロールされる場合があり濃度そのものを目指す必要はない。きちんとした服薬がなされているかをチェックする手段として有用である。多剤併用する場合は作用機序の重ならないものを選ぶことを忘れてはいけない。また代謝酵素や排泄経路の条件で血中濃度が変動することが他薬剤との間で生ずることがあるので確認を怠ってはいけない。

投稿者:KUSUat 19:16 | 日記

2017年1月1日

予防と治療


医療は予防が治療に先立つのは当然ですが、実際上は混在しながら進められます。たとえば高血圧で血圧を下げるのは、血圧が高いと動脈硬化の進行が速くなるからです。動脈硬化は心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、腎不全を引き起こします。血圧が上がることだけでの症状はあまりありません。高血圧治療は動脈硬化の進行を予防しているわけです。脳梗塞に使う薬は血液を固まりにくくする薬剤と脳循環をよくする薬を使います。前者は予防、後者は治療の薬なのです。予防はもう少し拡大して考えられます。パーキンソン病や脳梗塞では歩行が不安定になります。このような方が転倒すると痛みや安静のため筋力低下が著しく、歩行が更に不安定になり全体的な病気としては大きく進行してしまいます。転倒はなんとしても防がなければなりません。現在、患者さんに勧めているのは、毎日行う最も基本的な下肢筋トレとウオーキングストックの使用です。この方法はホームページのご挨拶のページに載せてあります。ダウンロードして使用することができます。最近、私が診ている患者さんで少しづつ実行する方が増えてきました。しかし、タイミング的に遅れてしまうとなかなか始めるのは困難なようです。これからは、もう少し早い時期から勧めるようにし転倒をできる限り防いでいきたいと考えます。

投稿者:KUSUat 17:56 | 日記

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