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2017年11月27日

いしかわ漢方セミナー


腹部疾患の漢方選択 谷川醫院 谷川聖明先生 腹部症状で最もよくあるのは下痢と便秘です。下痢を改善させる生薬は人参です。半夏瀉心湯は比較的体力のある方に使います。人参湯は体力がなく冷え症の人に合います。六君子湯はその中間でしょうか。いずれも人参が入っています。六君子湯は消化機能の低下した上腹部不定愁訴に効果があります。胃貯留能低下改善作用、胃排出機能促進作用があります。胃からグレリンの分泌を促し、摂食促進作用、胃酸分泌促進作用、消化管運動促進作用、心機能改善作用を高めます。抗癌剤による食欲低下にも効果します。六君子湯は消化器症状を訴える陰証(寒がりで厚着を好み四肢や腰背部に冷感を認め顔面が蒼白で徐脈傾向等)の患者さんにあいます。逆の陽証(暑がりで薄着を好み、顔面が紅潮し頻脈傾向等)では半夏瀉心湯が適用です。 便秘には先ず大黄が使われます。これは容量依存的に腸管を動かします。大承気湯、大黄甘草湯、麻子仁丸、潤腸湯いずれも大黄が入っています。麻子仁、杏仁は麻子仁丸、潤腸湯に入っており腸を潤す作用があります。

投稿者:KUSUat 21:42 | 日記

2017年11月19日

脳波セミナー 金沢


脳波の基礎 福井大学医学部神経科精神科 東間正人准教授 脳波は診断、脳機能評価をより正確に行うための手段です。利点は測定が簡便で脳活動を鋭敏に記録できることです。欠点は空間分解能が低いことと疾患の診断的価値が限定されることです。判読は先ず優位律動の分布、周波数、左右差、反応性を見、ついで徐波、速波など非突発性異常の時間性や領域性をみます。それから突発性異常を賦活時、非賦活時にわたって見て総合評価を出します。計測は電位差を見るため電極の位置が重要です。通常は頭皮上で計測しますが、脳表と頭皮上の間に骨・皮膚があるため、脳表と比べ1/10に電位は減衰するため電位を表す振幅情報の重要度は低くなります。周波数は影響されず重要な所見です。どのような組み合わせで計測するかを導出法といいますが代表的なものに耳朶を基準とする単極誘導と双極誘導があります。他にAV法(平均電位基準電極法)SD法(電源導出法)があります。単極誘導はよく使われますが側頭部波形の評価に問題があります。基礎律動のアルファ波は後頭部の視覚野が発生源です。これは双極誘導の前後のつながりををみる導出法でみるとよくわかります。病変と脳波の関係で非突発性異常(徐波)は遠隔病変、近傍病変ともに患側で出現します。また両側で出現する波(正常、異常)は患側で消失減弱します。基礎律動は近傍病変で同側で異常をを呈し、遠隔病変は反映しません。発作間欠期の棘波は診断的有用性が高く重要です。感受性は25%-56%特異性は78%-98%といわれ繰り返し脳波検査を行い検出します。なかでも眠気の脳波は同期性が高まっているため有用です。

投稿者:KUSUat 14:39 | 日記

2017年11月3日

神経学会地方会 福井


セミナー 抗認知症薬の使い方 新阿武山病院 森本一成先生 認知症とは一度正常に達した認知機能が後天的な障害で持続的に低下し日常や社会で支障が出る状態のことです。65歳〜69歳人口の約2%が認知症で5年毎に倍になっていき85歳〜89歳では34%に認められます。63%がアルツハイマー病で血管性認知症、レビー小体病と続きます。治療には薬物療法、非薬物療法、適切なケアの三つの方法を組み合わせて効果をあげることが必要です。介護サービスの利用や家庭での対処法の改善が急務です。医師は薬物療法に主に関わることになります。2系統の薬剤があります。アミロイドカスケード仮説に依る薬剤は3種類あります。ドネペジルは感情賦活の作用が特徴で無気力で反応性に乏しい場合に良いですが、活動性を高めて問題を起こすこともあるので留意しておきます。血中半減期が90時間あるので一日一回の服用でよいのですが過剰に服用する傾向の方には注意が必要です。ガランタミンは半減期が短く一日二回の服用が必要です。注意力や言語力の改善が期待され脳血管性認知症にも効果があるといわれます。更に効果を維持できる年月が長い特徴があります。リバスチグミンは貼付薬で一日一回の使用です。前頭葉の血流を上げADLの改善に効果があります。半減期は短いのでパッチをはがすと短時間で血中濃度は下がります。貼付で皮膚炎を起こす場合は保湿剤を併用します。表情がよくなり判断力、会話、実行機能が改善します。以上の薬剤の効果判定はいろいろなスケールで測定しますが、半年以上能力を維持できていれば効果があると考えてよいと思います。ただし、良い刺激良いケアが伴わないといけません。グルタミン酸仮説に依るものは1種類です。メマンチンは神経細胞へのカルシウムの流入をブロックし細胞を保護し病気の進行を抑制します。また神経細胞に入るノイズとしての刺激を抑制します。周辺症状にも効果があり特に攻撃性を抑えます。不安感の強い軽症な時期の患者さんにも有用です。他の抗認知症薬との併用はどれでも可で3ケ月で併用の優位が確定してきます。以上の特徴を意識して抗認知症薬を使い分けることで認知症患者に対する対応力のレベルを上げることができます。

投稿者:KUSUat 23:21 | 日記

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