2017年11月27日
いしかわ漢方セミナー
腹部疾患の漢方選択 谷川醫院 谷川聖明先生 腹部症状で最もよくあるのは下痢と便秘です。下痢を改善させる生薬は人参です。半夏瀉心湯は比較的体力のある方に使います。人参湯は体力がなく冷え症の人に合います。六君子湯はその中間でしょうか。いずれも人参が入っています。六君子湯は消化機能の低下した上腹部不定愁訴に効果があります。胃貯留能低下改善作用、胃排出機能促進作用があります。胃からグレリンの分泌を促し、摂食促進作用、胃酸分泌促進作用、消化管運動促進作用、心機能改善作用を高めます。抗癌剤による食欲低下にも効果します。六君子湯は消化器症状を訴える陰証(寒がりで厚着を好み四肢や腰背部に冷感を認め顔面が蒼白で徐脈傾向等)の患者さんにあいます。逆の陽証(暑がりで薄着を好み、顔面が紅潮し頻脈傾向等)では半夏瀉心湯が適用です。 便秘には先ず大黄が使われます。これは容量依存的に腸管を動かします。大承気湯、大黄甘草湯、麻子仁丸、潤腸湯いずれも大黄が入っています。麻子仁、杏仁は麻子仁丸、潤腸湯に入っており腸を潤す作用があります。