2018年1月28日
教育講演 老化と動脈硬化
老化から考える動脈硬化 東京大学循環器内科学 小室一成教授 70〜80代の6割は高血圧症の範疇に入っています。加齢と高血圧が動脈硬化を進め脳卒中、冠動脈疾患更に心不全に至らします。老化細胞は分裂の停止、機能低下、炎症の亢進、β-galactosidase活性亢進(DNA障害)の状態にあります。血管の老化では内皮でのNO、プロスタサイクリンの低下をきたします。血管平滑筋では炎症の亢進、サイトカインの上昇がコラーゲン線維の増加、エラスチンの低下で硬く伸展性が失われます。アンギオテンシン2は血管老化を促進します。血中の老化促進分子を我々は発見しましたが、C1qという補体でした。これが血中に増えると老化が促進します。これはARBの投与で減少することが分かっています。動脈のリモデリングもC1qが関与しています。心不全は息切れむくみを来たします。65歳から心不全は急激に増加します。予防は運動、禁煙、減塩、節酒、高血圧治療です。心不全治療薬ではACE阻害剤、ARB,βブロッカー、スピロノラクトン、利尿薬などがあります。拡張不全による心不全もあります。加齢によって線維化が起き筋肉が硬くなります。ARBは線維化、高血圧を予防します。心房細動も拡張不全と関係があります。拡張不全の症状は短期(1日)で出現します。予防が大切で過労、飲みすぎ、食べ過ぎを避けます。風邪をひかないように注意し、高血圧治療はしっかりするようにします。