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2018年3月8日

学術講演会 小松 高齢者のてんかん




高齢者のてんかんと認知症 防衛医科大学 精神科 吉野相英教授 てんかんは小児の病気と思われていましたが65歳以上に多いJカーブをなすことが25年前より言われるようになりました。9割以上が部分発作によるもので半数にけいれんは認めません。複雑部分発作では動作の停止や自動症、健忘がありますが本人には前兆の自覚はありません。発作は短いのですが朦朧状態が数時間から数日続くことがあります。認知障害や抑うつ状態が遷延することもあります。高齢者てんかんの原因は50%は脳血管障害によります。アルツハイマー病(AD)でも10%前後にてんかんがあります。 ADではてんかんは77%でADの前に出現します。てんかんはADに先立ってMCIの頃(MMSE24点以上が60%)から出現するのです。MCIでのてんかんはADの進行を早めるという報告があります。症状を伴わない脳波上のてんかん波を見つけますが睡眠中の脳波が大切です。ラボナ錠を検査30分前に投与して睡眠を誘発します。MCIの時期での抗てんかん薬の投与はADの進行を抑制するとの動物実験結果があり人間でも研究が進行中です。てんかん治療としてはテグレトール(100mg〜)、ラミクタール(25mg〜)、イーケプラ(250mg〜)が推奨されています。イーケプラは継続しやすい薬剤と言えます。

投稿者:KUSUat 21:21 | 日記

2018年3月4日

パーキンソン病治療講演会 金沢




パーキンソン病ガイドライン2018 国立精神・神経医療センター病院長 村田美穂先生 パーキンソン病の薬剤治療の基本はL-ドーパの使用です。一時L-ドーパの神経毒性が言われ使用を遅らせたり量を節約することが勧められたこともありました。そのためドーパミンアゴニスト(DA)が過大評価されたこともあります。DAは眠気や精神症状などの点で継続が困難なことが多いようです。ただ運動合併症はDAとの組み合わせで改善をはかることがことができます。すくみ減少には効果は少ないようです。L-ドーパは通常量では神経毒性ははないことが分かってきました。7年間の薬剤服用継続ではL-ドーパの脱落が最も少ないという結果がでました。患者さんは薬剤の増量に抵抗感がありますが、増量に対する理解を得るように説明していくことが重要です。L-ドーパ増量によるジスキネジアは血中濃度の上下が少ない程出現しにくい傾向があります。パーキンソン病の90%は65歳以上で65%は75歳以上です。若年者ではDA使用による衝動制御障害(賭博癖等)のリスクを考慮しておく必要があります。非運動性症状では鬱があります。抗うつ薬(SSRI)、DA、認知行動療法を考慮します。幻覚・妄想では向精神薬(クエチアピン、リスペリドン等)を十分量使って鎮静化の後、減薬していきます。姿勢異常の上半身が折れるタイプは外腹斜筋のリドカイン投与(5日間連続)が奏功することがあります。L-ドーパに組み合わせる薬剤で最も副作用の少ないものではゾニサミドがあります。

投稿者:KUSUat 23:19 | 日記

2018年3月1日

先ず思いつきから創める (3)




患者さんを長く診療していると様々な誘因で歩行が拙劣になっていく方が多くいます。病気では多発性脳梗塞、パーキンソン病など徐々に進む病態の方はある程度歩行が悪くなった頃に半スクアットやウオーキングストックを薦めてきました。新たなことをなかなか人は取り入れないので、問題が出てきてから薦めた方が受け入れやすいと考えていたのです。しかし症状が進行した時点は新たなことを始める余裕がなくなり、効果も充分でないことが分かってきました。そのため最近では症状がはきっりするであろう数年まえより半スクアット運動やウオーキングストックの使用を勧め、診察の度に確認するようにしました。ストック使用ははノルデイツクウオークの様なスポーツの形で開始すると外やっても人目を気にしないでできます。また外では使わず、ひたすら家の中で使って習熟し使用能力を保持し必要時は外で使えるように備えておくことを勧めています。二足歩行の人間だけが転倒し四足歩行の動物は転倒しないのです。2本のストックを使い四足歩行を無意識にできるように習熟できれば転倒件数はかなり減少し、転倒後の様々な弱体化を防ぐことができます。

投稿者:KUSUat 19:11 | 日記

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