2018年12月29日
学術講演 糖尿病
糖尿病での動脈硬化促進因子とその管理
順天堂大学 代謝内分泌内科 三田智也准教授
心血管イベントはHb A1cに反映されません。血糖変動が動脈硬化の進展に関与していることが分かってきました。HbA1cは血糖の平均に相応する指標であって、血糖の変動については反映しないのです。食後高血糖を含めて血糖の上下は血管内皮を障害します。持続的に血糖が高い時はネガティブフィードバックが効いて補正が働くのに対し、血糖の上下ではフィードバックが働く間がなく結果として酸化ストレス総量は増えることになります。また低血糖は交感神経を活性化して動脈硬化を促進します。動脈硬化を頸動脈のIMT(内膜中膜の厚さ、max IMT,mean IMT)で評価する時DPP-4阻害薬は用量依存的にアテローム硬化を抑制することが分かってきました。低血糖の頻度が上がるとIMTは上昇します。既往のない頃よりのDPP-4阻害薬の使用で心血管イベントが少なくなります。
糖尿病の薬剤治療はHbA1cが7%を越えたり食後高血糖がある場合や頸動脈硬化を認めた場合に開始します。痩せ型の人ではDPP-4阻害薬、肥満型ではα-GIが良いでしょう。βブロッカーは血管内皮保護作用を持ちます。αブロッカーは平滑筋を緩めますが起立性低血圧に注意が必要です。血糖上下にはDPP-4阻害薬、α-GIが有効です。