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2019年1月28日

出血リスクと抗凝固薬




抗凝固薬ワーファリン、DOACの待機的手技における使用のまとめ 
マイナー出血リスク(抜歯、歯周外科治療、インプラント調整、歯根膿瘍切開、白内障治療、緑内障治療、生検や切開の無い内視鏡、体表の膿瘍切開や皮膚小切除など)では原則抗凝固薬の休薬は不要である。DOACは当日休薬で手術後6時間以上で再開。
出血低リスク(内視鏡生検、前立腺膀胱生検、複雑な手技を除いたカテーテルアブレーション、冠動脈造影急性冠症候群を除いた血管造影、複雑でないペースメーカーICD植え込み術)ではDOACで原則24時間以上の休薬と手術当日の休薬。
出血高リスク(複雑な内視鏡手技、腰椎穿刺、脊椎麻酔、硬膜外麻酔、胸部手術、腹部手術、整形外科の大手術、肝生検、経尿道的前立腺切除術、腎生検、体外衝撃波結石破砕術)はDOACで原則48時間以上の休薬、術後48から72時間以上の休薬。
ワルファリンではPT-INR 1.5〜1.9では3〜4日前から、INR 2.0〜3.0では5日前から3.0を越える時は少なくとも5日間以上は中止する。手技前24時間以内にPT-INRを再チェックする。

投稿者:KUSUat 16:30 | 日記

2019年1月21日

教育講演 糖尿病治療




GCM(24時間血糖変動測定)からみた糖尿病治療 
慈恵医大内科学 森豊教授 
健常者では血糖変動は0に近いのですが糖尿病患者では食事による血糖上昇や服薬による低下など血糖変動は治療評価の上でも重要です。血糖変動値の平均をMAGEといいます。薬による特徴を述べるとα-GI(ベイスン、セイブル)は食後高血糖を下げMAGEは改善されますがHbA1cには反映しにくいと言えます。SU剤(アマリール等)は1回の投与で1日効果があり平均の血糖値は下げるのでHbA1cに反映されやすいのですが夜間低血糖に入り易くMAGEは改善しません。TZ薬(アクトス)はインシュリン抵抗性の改善を図ることができ、空腹時高血糖に良いが食後高血糖は変わらない。また夜間に下がる傾向がある。ビグアナイド(メトホルミン)は食前服用で食後血糖を押さえ、用量依存で血糖は低下します。ただし、500mg/日ぐらいの使用では他剤との併用が効果的ですが1500mg/日では単独で日内変動をコントロールできます。DPP-4阻害薬(トラゼンタ)は食直後血糖をを下げ、これは血糖の高い時だけ下げるので低血糖は起きにくく変動値は小さくなります。SGLT2阻害薬は一日血糖を全体に平均して下げるので変動幅はあまり変わりません。現在、最初によく使われているのはDPP-4阻害薬でこれとメトホルミンの併用は合理的です。HbA1cを下げるにはSGLT2阻害薬の併用もよく、食後高値を改善し変動幅を抑えるにはα-GIとの併用も良いと思われます。メトホルミンは血中の半減期は短いのですが薬効は長く1日1回の投与で効果を得ることができます。脳に働き、脳から肝の糖新生を抑制する作用もあるといわれます。CGMは日常診療で難しいのですが、朝食後血糖を測定することでMAGEを推測することができます。HbA1cが低い場合は朝食後1.5時間、高い場合は2時間の血糖が参考になります。

投稿者:KUSUat 23:42 | 日記

2019年1月1日

年の初め




年の初めに
昨年を振り返ってみると新たな蓄積としてはいくつかのことがありました。
片頭痛の予防薬としては様々な薬剤がありますが塩酸アミトリプチリンは再評価される薬剤と思われます。この薬剤は緊張性頭痛にも効果があります。いずれも1錠(10mg)か2錠で効果があり効果の減衰がありません。典型的な片頭痛の患者さんの他に中学生の訴えの分かりにくい片頭痛(?)に使い効果がありました。片頭痛予防薬は多数あるので順番に試していきますが最初の方に使ってみるべき薬剤だと思いました。
感冒の長期化した状態に補中益気湯を使いますが、高熱が出てきて改善しないケースで補中益気湯が劇的に効果した例を経験しました。敗血症(CRP+6)も一時疑った例です。
海綿静脈洞症候群や側頭動脈炎にはステロイド使用が必須ですが、糖尿病患者の場合、糖尿病の悪化のリスクがあり患者にも治療者にも大きなストレスとなりました。
長い間、高血圧や脳血管障害など他疾患で診てきた患者で高齢化に伴い転倒のエピソードが出現してきた方で、わずかな固縮を見つけてDAT-SCANを行うと高率にドーパミントランスポーターの線条体での低下を認めました。パーキンソン病レビー小体型認知症の潜在率は高齢者ではかなり高いと認識する必要があると思われます。
今年は認知症の診断の精度を更に改善するよう心掛けたいと考えます。認知症は一旦治療が始まってしまうと治療の適否の評価が難しくなるため慎重さを持って進めることを心に銘じて診療したいと思います。

投稿者:KUSUat 17:34 | 日記

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