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2018年11月26日

CTの画質と線量




CTスキャンは現代医療では欠かせない診断装置です。特に頭部では骨に囲まれた頭蓋内は超音波も到達しにくくCTに頼ることが多くなります。
MRIではもっと多彩な情報を得ることが可能ですが装置が高度化して大病院でないと効率的に使うことができません。
最近のCTも高度化して撮像スライス幅が1mmを切りデータ量が増え画像が精細になって、どのような断面も構成可能になっています。当院ではルーチンで通常撮影(axial view)の他、冠状断、矢状断計3方向の断面をみて診断します。しかしCTではX線を使うので被爆の問題があります。許容量に関しては様々な見解があり、どの線に合わせるのが難しい面があります。画像の質が確保できるのであれば線量の少ないほうにするのは当然です。
線量が少なくても画質が低下しないソフトが開発され線量低下を図ることが出来るようになりました。撮像方法には従来からのconvensional scanと最近よく使われるhelical scanがあります。前者は画像は安定していますが時間がかかり患者さんが動いてしまうことがあります。後者は画像は少し落ちるような印象がありますが短時間で撮像できます。当院では頭部の検査は前者で行うことが殆どです。それは頭部は呼吸運動の影響を受けず動かないので時間をかけても高画質が得られるからです。さらに重要なことがあります。前者での線量は後者の35%〜60%という少ない値です。しかも画質は同等か上回ります。検査機器はその特徴を捉えて最大限に使うことが原則です。

投稿者:KUSUat 23:15 | 日記

2018年11月16日

神経学会地方会 富山 (2)




1.自律神経症状発症7年後に多系統萎縮症(MSA)の診断の1例 名古屋大学神経内科 守吉秀行先生 7年前排尿障害、6年前より血圧変動、5年前起立性低血圧 、4年前食後のふらつきが出現、昨年頻回な失神をきたすなど自律神経症状を呈し治療に難渋した。昨年の時点ではパーキンソニズムや小脳症状を認めなかったが本年に入り軽度の体幹失調、測定障害がみとめられた。ドパミントランスポーターシンチで両側線条体での集積低下が確認された。障害は多系統にわたりprobable MSAと診断された。自律神経症状のみで長期間経過するMSAの存在も意識することになる。
2.パーキンソン病の正診率 名古屋市総合リハセンター神経内科 堀本佳彦先生 正診率は病理診断によって確定される。日本剖検病理輯報収載の2010年から2014年までの全剖検例61,199例中臨床診断パーキンソン病369例で321例(87.0%)が診断確定されていた。一般内科内科医の診断例も含まれることを考えると英国運動障害専門医(90%)やフィンランド一般神経内科医(75.3%)と比べ遜色のない結果であった。誤診例は主に進行性核上麻痺、血管障害性パーキンソニズム、多系統萎縮症であった。
 

投稿者:KUSUat 23:33 | 日記

2018年11月13日

神経学会地方会 富山 (1)




パーキンソン症候群関連発表4題 1.金沢医科大学神経内科 内田信彰先生 ロチゴチン(ニュープロパッチ)が有効であった大脳基底核症候群(CBS)の3例報告。いずれも高齢で79歳(男性)、82歳(男性)、81歳(女性)であった。L-dopaが使われたが無効か早期に効果が減弱している。CBSにはL-dopaやドパミンアゴニストは効果が乏しいとされているがロチゴチンの使用で臥位からの起き上がりや書字の改善、上肢握力の改善、固縮や寡動の改善を認めた。 
2.初期診断が進行性核上麻痺(PSP)であったパーキンソン病の報告 刈谷豊田総合病院神経内科 丹羽央佳先生 65歳発症のパーキンソン症候群で上方視の中程度障害がありPSPとされた。L-dopa 300mg/dayで改善せず自覚的にはかえって悪化した。69歳時、MIBG心筋シンチでH/M比の低下を認められ中脳萎縮は進行しなかった。L-dopa 600mg/day開始され運動機能が多少改善した。71歳、誤嚥性肺炎で死亡、剖検での病理診断はパーキンソン病であった。試験的L-dopa投与でパーキンソン病を診断することがあるが、効果は症例差があり600mg/dayまでは増量してみる価値はあると思われた。また期間も長くとって評価する必要があると思われた。

投稿者:KUSUat 16:37 | 日記

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