2019年3月31日
ランチョンセミナー 脳SPECT 脳卒中学会
認知症における脳SPECT検査の役割
神戸大学 古和久朋先生
脳血流SPECTでアルツハイマー病では頭頂葉、後方連合野、後部帯状回、楔前部の血流低下を認めます。血管障害の場合は障害血管の分布によってムラがあると言えます。血管障害の要素が合併すると判断に迷うことがあります。
レビー小体病では後頭葉、一次視覚野、頭頂葉の血流低下を認めます。前頭側頭型認知症では前頭葉、側頭葉の血流低下を示しますが、この場合は萎縮があるので容積も少なくなっていることを反映している部分はあると思われます。進行性核上麻痺では前頭葉、前部帯状回、の血流が低下します。
ドーパミントランスポーターSPECT(DAT-SCAN)はパーキンソン症候群関連の認知症診断に有用です。アルツハイマー病では線状体への集積は正常ですが、レビー小体病、パーキンソン病、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核症候群では低下します。レビー小体病、パーキンソン病は心筋MIBGでの取り込み低下でしぼり込むことができます。
脳SPECTは形態上の変化が無い疾患や、形態上の変化のまだ無い状況での診断に役立つと言えます。