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2019年3月31日

ランチョンセミナー 脳SPECT 脳卒中学会




認知症における脳SPECT検査の役割 
神戸大学 古和久朋先生
脳血流SPECTでアルツハイマー病では頭頂葉、後方連合野、後部帯状回、楔前部の血流低下を認めます。血管障害の場合は障害血管の分布によってムラがあると言えます。血管障害の要素が合併すると判断に迷うことがあります。
レビー小体病では後頭葉、一次視覚野、頭頂葉の血流低下を認めます。前頭側頭型認知症では前頭葉、側頭葉の血流低下を示しますが、この場合は萎縮があるので容積も少なくなっていることを反映している部分はあると思われます。進行性核上麻痺では前頭葉、前部帯状回、の血流が低下します。
ドーパミントランスポーターSPECT(DAT-SCAN)はパーキンソン症候群関連の認知症診断に有用です。アルツハイマー病では線状体への集積は正常ですが、レビー小体病、パーキンソン病、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核症候群では低下します。レビー小体病、パーキンソン病は心筋MIBGでの取り込み低下でしぼり込むことができます。
脳SPECTは形態上の変化が無い疾患や、形態上の変化のまだ無い状況での診断に役立つと言えます。

投稿者:KUSUat 00:55 | 日記

2019年3月26日

教育講演 脳卒中 神経学会近畿地方会




脳卒中急性期の病態と治療 大阪市立大学神経内科 伊藤義影教授 
(1)超急性期ではTPAによる血栓溶解療法の適応を見極めることが重要で、発症から治療開始までの時間は4.5時間と制限がある。結果は治療が早いほど良好で出血合併症も少ない。発症時間が正確に分からない時、例えばWake-up strokeでは何とか適応を拡大するためにMRIでdiffusionで病変が検出されflareで所見(4.5時間後から出てくる)が無いか僅かであれば適応と考えて良いと思われる。
(2)急性期の血管内治療は内頚動脈や中大脳動脈主幹など主幹動脈閉塞の場合に採用される。TPAの効果は主幹動脈では期待できない。発症6時間内で先ずTPAを使っておいて、続いて血管内治療を開始する。さらに6時間以後も24時間まで虚血コアの部分が限局しているミスマッチ症例には効果があることが分かっている。
(3)血管内皮障害性のものは急性期に抗血小板薬の使用が必要となる。アスピリン、クロピドグレルが効果あり、2剤使用は効果的である。ただし2剤使用は3週間までが効果があり、90日を過ぎると出血の率を上げると言われている。3剤使用は禁忌である。
(4)塞栓症ではDOACは出血性梗塞の時期を過ぎて使用される。出血リスクが少なければ7日以後使用可である。

投稿者:KUSUat 22:01 | 日記

2019年3月3日

教育講演 アレルギー疾患




花粉症治療における労働生産性
日本医科大学耳鼻咽喉科 後藤 穣准教授
花粉症などのアレルギー疾患は症状そのものが負荷となって労働生産性を下げることになります。治療は抗原を避けることや舌下免疫療法、手術などありますが薬物療法が主になります。症状により様々な組み合わせの治療が行われます。鼻閉には抗ロイコトリエン薬や好酸球増多が有ればステロイドを使います。一般に抗ヒスタミン薬が使われることが多いのですが薬による集中力抑制作用が問題になります。抗ヒスタミン薬の中ではビラスチン(ビラノア)、フェキソフェナジンが脳に移行しにくいとされています。特にビラノアは速効性が期待でき、また季節性や治療効果の出にくい通年性アレルギーにも効果が期待できます。ビラノアはジルテックと効果的には同等と考えることができます。抗IgEモノクローナル抗体製剤のゾレアは喘息や慢性難治性蕁麻疹に対して適応を取っていますが適応が広がることが期待できると思います。 

投稿者:KUSUat 19:47 | 日記

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