2019年5月21日
脳神経外科コングレス 横浜 (1)
プレナリーセッション良性脳腫瘍
鹿児島大 吉本幸司先生 岡山大 杉生憲志先生 名古屋第二赤十字病院 渡邊督先生 札幌医大 鰐淵昌彦先生 長崎大 松尾孝之先生
良性脳腫瘍は摘出が望ましいが脳機能温存しつつ全摘出するのは困難なことも少なく無い。近年、良性でもゲノム診断の有効性が言われ標的療法の有効性の報告もある。また悪性化するタイプの判断に寄与する可能性はある。
脳腫瘍の栄養血管を閉塞する塞栓術は術中出血の減少、腫瘍壊死による摘出度の高い安全な手術、手術時間の短縮に有効である。塞栓物質の他領域への流入を防ぐため微細粒子の場合はサイズの選択が大事である。血流病態によっては糊状物質を使う。外頸動脈系は安全だが髄内腫瘍ではリスクが高くなる。
神経内視鏡手術の利点は最小限の手術侵襲で最大限の視野術野を得る点である。広い視野角や多視点による観察で根治性を高めることができる。高齢化社会では低侵襲性は大いに期待される。
頭蓋底の髄膜腫は神経内視鏡で手術の精度が改善している。また放射線治療も機器の開発改善で高精度となり成績の向上をみている。悪性髄膜腫ではホウ素中性子補足療法の有効性が報告されている。
頭蓋咽頭腫では神経内視鏡による拡大蝶形骨法で摘出率、機能温存での治療成績の向上が期待できる。また精密放射線療法の進歩で治療成績向上も見込まれている。