2019年11月26日
視覚障害者の事故予防をウオーキングストックで
私のクリニックでは下肢筋力の低下防止のため椅子を使っての半スクワットとつま先立ち(踵上げ)をすすめています。また転倒予防にウオーキングストックの使用を提案しています。転倒による骨折や打撲よる安静がフレイル、ザルコペニアにつながり予後の低下をまねきます。人は歩行に際して左右に振れながら進んでいます。この左右の振れをストックで制御することで歩行が安定します。 ストックを使ってもう一つ分かったことがあります。前方に振り出すストックはこれから進む地面の状況を取得するゾンデ(消息子)になっているということです。これから進む2本のゾンデの間は状況(溝や凸凹)が良くわかる地帯になります。視覚障害者の使われる白杖は通常1本です。1本の杖を自身の前方だけ使う場合は側方の情報が欠落することがあります。時に報道される視覚障害者の駅ホームからの転落事故がそのことを物語っています。試しにウオーキングストックを使い目を閉じて歩いてみると衝突や転倒の危険を感ずることなく歩行できることがわかります。右手に持つストックを左足前方につき、左手に持つストックを右足前方につくようにして、これを繰り返し前方に歩くと進行する直前の地面の状況が探知できます。この方法が広まれば悲惨な事故無くすることが可能になると思われます。