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2020年6月25日

Web学会参加は


新型コロナウイルスの影響で学会参加がWeb参加になっている。地方会でも数百人が集まるのでリスクは無視できなということであろう。総会では数千人規模になるので、ここ半年はほとんどがWeb総会になるようである。学術総会は大きなホールに大人数が集まったり小ルームにギューギューに入った状態で数時間発表や講義を聴くことになる。現時点では出かけて行くことが躊躇される。初めてのWeb参加は神経学会の東海北陸地方会であった。本来は名古屋まで出かけて行かなければ参加できないのがリモートで参加できるので有難かった。モニターに発表のスライドが次々出てきて演者が説明する形式で、画像も鮮明で声もよく聞こえるのは良い点であった。ただ演題が切れ目なしに提示され、普段会場でやり取りされる質問がなくメリハリがつかない気がした。延期された脳神経外科コングレスの総会は8月上旬に金沢であり、現時点ではリアルとWebの両方で行われる予定で状況が許せばリアルで参加したいと思う。脳卒中学会は8月下旬から9月下旬にかけての一ヶ月に及ぶ予定でWebで開催されるがどの様な内容になるのか興味がある。ただ、どこにも出かけられない状態はマンネリになり宿泊しての学会参加が懐かしくなっている次第だ。

投稿者:KUSUat 14:58 | 日記

2020年6月16日

頭痛、頸部痛 石灰沈着性頸長筋腱炎?


頸長筋は頸椎に沿うように前方に存在する筋肉で頸部を前屈させる作用がある。上斜部、垂直部、下斜部に分けられる。上斜部起始は第3〜第5頸椎横突起で停止は環椎前結節。垂直部起始は第5〜第7頸椎と第1〜第3胸椎椎体で停止は第2〜第4頸椎の椎体である。停止部の腱に石灰沈着をきたし炎症を起こして発症するのが石灰沈着性頸長筋腱炎である。上位頸椎前面で起きれば頭痛、頸部痛が出現し、下位で起きれば咽頭痛、嚥下痛が生じ頸部を動かすことで激痛が誘発される。診断にはCTが有用で頭痛の際は第2頸椎レベルまでは撮影域にいれないと見落とすことになる。これはクラウンド・デンス症候群からくる頭痛の診断でも同様である。咽頭痛の場合は耳鼻科受診となるが咽後膿瘍が否定的であればこの疾患を念頭に置く必要がある。私のクリニックで最近クラウンド・デンス症候群に続き石灰沈着性頸長筋腱炎の患者さんを経験した。40代女性で車運転中に左後頭部痛が出現、首が痛くて動かせなくなり翌日受診された。CTで軸椎左前面に小さな石灰化を認め、CRP2+WBC8600でNSAIDで改善した。この疾患は前者と比べて若年層に多く男女差はないといわれている。痛み止めが効果するので診断に至らずなんとなく治ってしまうものもあると思われる。

投稿者:KUSUat 15:52 | 日記

2020年6月7日

頭痛 クラウンド・デンス症候群?


分かりにくい頭痛にクラウンド・デンス症候群があげられる。頸椎環軸関節に起きる偽痛風が原因とされている。急激に発症する頸部痛頭痛で頭部の回旋前屈後屈が痛みでできなくなる。頭痛は部位が特定しにくいことも多い。診断はCTで第2頸椎歯状突起後方周囲の石灰化を確認することが重要になる。その像は歯状突起が冠をかぶった(crowned)ように見えるために病名がついたのだと思われる。高齢の女性に多いようだ。治療はNSAIDが有効である。私はこれにヨクイニン湯を追加している。頭痛に際してCTを撮る時は必ず第2頸椎を含むスライスから始めるようにしている。またわずかな石灰化を見落とさないように、その部位はウィンドウ幅とウインドウレベルを調整して読影するようにしている。これまで、分からないまま鎮痛剤(NSAID)を投与して治っていた中にこの症候群がはいっていた可能性はあると思われる。現在はチェックしているので見逃すことはないはずです。最近経験した80代女性の症例は実に複雑でした。三叉神経痛があり薬でコントロールされていましたが新たに頭痛をきたし診察すると浅側頭動脈に圧痛があり巨細胞動脈炎の診断でステロイド投与し改善しました。しかし今度は後頭部痛が出現、後頭神経に圧痛を認め神経ブロックで改善しました。その次に部位不明の頭痛を訴え始めヒステリーと間違えそうになりましたがCTでクラウンド・デンスを確認し上記薬剤投与で改善しました。この症例は本当に多彩な病態があるのか省察する必要があります。

投稿者:KUSUat 19:52 | 日記

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