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2021年11月28日

脳神経外科学会総会(3)ランチョンセミナー 神経外視鏡




脳神経外科領域で手術用顕微鏡が使われだしたのは1960年代からです。視野が明るく拡大され手術操作が繊細確実となり画期的なことでした。手術成績が向上し、これまで手術困難であった部位の手術も可能となったのです。神経内視鏡の開発も手術困難な部位の手術を可能にしました。高性能の超小型カメラの出現で軟性で細い神経内視鏡が可能となり直視下では見えない部分での手術操作も出来るようになってきました。最近では神経外視鏡が使われだしています。手術用顕微鏡の鏡体は当然術野と術者顔面との間に介在することになります。このボリュウームが妨げとなり、術野に対する自由なアングルの選択に制約を課します。また介助者の立ち位置や視野方向にも制約がでてきます。神経外視鏡は基本的には高性能カメラと精細モニターで構成されています。カメラの容積は圧倒的に小さく術者にとって最適の視野を得ることができる位置にセットできます。術者はモニター画面を見て手術操作を行います。ただ術野に光を反射し易い白い物などがあると画面全体が白くなり視界が不良になります。この時は手術器具を色のついたものに変えることで防ぐことができます。 

投稿者:KUSUat 12:54 | 日記

2021年11月22日

病気に騙される




病気に騙されるのは当方に注意力の低下やや知識不足があればその確率は上がります。また患者さんの表現が紛らわしい場合や病気の発現が通常から外れた場合にも起こります。 注意力の低下を防ぐ方法は先ずどういう状況になった時に起き易いかを考えてみる必要があります。患者さんがある時間に集中してしまうと落ち着いて診察することが難しくなります。集中を防ぐには予約制にするのが良いのですが医科では病気の程度や性質(たとえば認知症の患者さんには分かり易くゆっくり話す必要が有る)で診察時間に幅ができてしまいます。完全な予約制は実情に合わないのでファジーに予約ができるファジー予約システムをつくって運営をしています。知識不足に関しては講演会や学会になるべく出席して知識の陳腐化を防ぐようにしています。最近のWeb講演会や学会は有難い取り組みだと思います。患者さんの紛らわしい表現に騙されないようにすることは難問です。やはり可能性を完全に排除せず、思考を割り切って単純に進めないという努力がいると思います。常に振り返り、後で出てきた事実を組み入れ何度も考える訓練が大事です。新たな状況になった場合は基本から再出発することも良い方法です。

投稿者:KUSUat 00:53 | 日記

2021年11月1日

脳神経外科学会総会(2)シンポジウム 認知症




アルツハイマー型認知症は発症前からの脳へのAβの異常蓄積が進行して出現することが分かっています。そのため診断や予防のためAβの分布や動きをみることの重要性が言われてきました。アミロイドPET-CTは脳内へのアミロイド沈着を画像で示してくれます。しかしこの方法は高額な装置と高額な薬剤を要するため費用の面でもハードルの高さが問題でした。脳内アミロイド沈着と相関する変化を血漿Aβバイオマーカーを測定で得ることが出来るようになり診断、予防への道が開けてきました。島津製作所のIP-MS法による検出器は実用化されてきました。臨床診断や臨床治療研究に際してのスクリーニング検査として有力な手段であると言えます。また予防医療の一環として使うことも可能です。ただし効果的な予防法や治療法がない段階で無暗に検査すると不安を煽ることにもなり配慮が必要です。アルツハイマー型認知症にも非定のものがあり若年者で海馬萎縮を伴わないタイプがあります。高次機能が侵されparietal(頭頂葉)variantやfrontal (前頭葉)variantがあり発現症状も異なります。前頭側頭型認知症は20%はPick病ですが多くはTDP-43タンパクの蓄積を認めるものが多いようです。進行性非流暢性失語を呈したり記憶障害が少ない物もあります。
BPSD(周辺症状)の治療と予防では抗精神病薬の使用には注意が必要です。死亡率を1.7倍にあげ転倒、骨折の危険性も上げることを念頭に置く必要が有るでしょう。症状が落ち着けば減薬、中止を心掛けます。メマンチンやガランタミンは抑制効果が期待されます。リバスチグミンは食欲増進に働くグレリンの上昇に作用します。低体重は認知機能の低下や死亡率の上昇に関連します。ベンゾジアゼピン系薬剤は夜間の転倒や認知症リスクの上昇に関与します。夜間せん妄の予防にはベルソムラ、デエビゴが効果することがあります。 

投稿者:KUSUat 08:39 | 日記

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