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2021年12月25日

北陸てんかんセミナー 女性と抗てんかん薬




てんかん女性と抗てんかん薬 原クリニック 原恵子先生 女性では妊娠出産と子供に対する影響が重要でです。妊娠中のてんかん発作は母子ともに対して危険要素となる。一方、胎児に対しての抗てんかん薬の影響も考慮しなければならない。バルプロ酸は奇形誘発が問題になっているが他の抗てんかん薬にも奇形誘発作用を有するものがある。バルプロ酸は1日量600mgを越えなければよいとするデータもあるが、妊娠可能な年齢では避けた方が良いと思われる。またバルプロ酸やフェノバルビタールなどは生後の知的発達の遅れと関連するというデータがある。治療開始にあたって、将来妊娠可能性のある場合は以上のような危険性のない抗てんかん薬投与が望ましいといえる。現在使われている薬剤ではレベチラセタムやラモトリギンが催奇形性が低いとされている。この両者は妊娠期間中に血中濃度が低下していくことが分かっており、非妊娠時の65%を切ると発作再発リスクとなる報告がある。妊娠中の発作を防ぐためには血中濃度をモニターし投薬量を増やしていくなどの管理が重要となってくる。また出産後はそのままの量を続けると1から2週間で濃度が上がりすぎるので減薬し通常に戻す作業が必要です。私は10日で増やした分の半分を減らすようにしています。濃度が高いと母乳を通して乳児に移行する可能性もあります。ベランパネルは難治性てんかんや強直間代発作に効果があります。不随意運動や皮質性振戦に効果するという報告もあります。

投稿者:KUSUat 19:37 | 日記

2021年12月19日

アレルギー性鼻炎とCPAP




アレルギー性鼻炎は花粉やハウスダストが原因で起こされる鼻炎で鼻閉を起こし大量の鼻汁が出て経鼻呼吸に支障をきたします。 CPAPは睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療として確立された治療法です。この一年、慢性期脳梗塞の患者さんで検査すると半数以上でSASで重症例ではCPAPを導入しています。そのなかで 一日中持続するアレルギー性鼻炎の方がCPAPを装着すると、装着中は鼻閉や大量鼻汁が改善するということがわかりました。部屋の空気が変わった訳でもないのに何故改善するのか疑問でした。陽圧をかけるので気道が拡張するので鼻閉が改善することはあると思われます。では鼻汁の減少は何故なのか考えてしまいます。鼻汁の分泌にも当然エネルギーが必要なわけで、それを物理的に抑えているのでしょうか。CPAPは鼻だけを覆う小さなマスクを装着します。また鼻孔を覆うマスクを使うこともあります。両者を比べると後者の方が鼻閉の改善度が高いのです。理由は尾翼部は柔らかく、その部分の鼻腔では鼻マスクタイプでは圧差が無いのに対し鼻孔マスクタイプでは鼻孔入り口から鼻腔内圧が外に比べて高く気道が開きやすいのだと思われます。夜間の口呼吸を避けるためや鼻水による不眠に対してアレルギー性鼻炎患者に対するCPAP導入は誰も提案したことがないと思います。ただ現象としては興味があります。 

投稿者:KUSUat 18:10 | 日記

2021年12月9日

顔面神経麻痺について




顔面神経麻痺が起きると顔面の筋肉に力が入らなくなり閉眼がし難くなったり口角から水が漏れたり表情が出せなくなったりします。通常は一側性で、脳のレベルでおきる中枢性と末梢で起きる末梢性に分かれます。中枢性では顔面でも額部分は両側支配になっているため顔の頬部以下の麻痺に比べて麻痺が目立ちにくいといえます。その違いによって両者を区別することはできるのですが、麻痺が弱いと判断しづらいことがあります。最近数か月の間で4人の患者さんがありました。いづれも末梢性顔面神経麻痺です。以前は原因が分からず特発性とされていましたが原因は単純ヘルペスまたは帯状疱疹ウイルスによるもののようです。ウイルスによる炎症が顔面神経が通る細い管の顔面神経管の部分で起きると神経が腫れあがり自らを圧迫して機能低下を引き起こすのです。治療には抗ウイルス薬と腫れを改善するステロイドが使われます。タイミングよく治療されるならば9割以上の方が支障を殆んど残さず回復します。最も重大な合併症は角膜炎で視力視野の障害を起こすことです。まばたきが少なくなり閉眼も困難となると眼球が涙で覆われることなく傷つき角膜炎を起こし悪化すると角膜混濁をきたします。予防には点眼、軟膏を使い睡眠時は瞼を閉ざして眠るようにします。ほこりっぽい場所や風の強い場所、乾燥した場所を避けるようにし、出来ない時はゴーグルをするのも良いと思います。

投稿者:KUSUat 23:23 | お知らせ

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