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2022年3月20日

北陸神経内科懇話会




進行期パーキンソン病の薬物療法(サフィナミドについて)昭和大学藤が丘病院脳神経内科 馬場康彦准教授 パーキンソン病治療薬MAO-B阻害薬は3種類有りますがサフィナミドだけグルタミン酸放出抑制作用を合わせ持ちます。またMA-B阻害選択性がMAO-A阻害作用と比較して1000:1と他剤に比して優れています。ON時の運動症状の改善はグルタミン酸放出抑制作用が寄与している可能性がありデイスキネジアに効果の可能性もあります。非運動性症状に関してグルタミン酸は疼痛の伝達に関与しておりサフィナミドが効果します。うつ症状にも関係し効果が期待できるのです。またその作用は可逆的であり他剤が薬剤中止後効果が遷延するのと対照的です。サフィナミドはウエアリングオフを改善し底上げ効果が期待できます。

投稿者:KUSUat 13:08 | 日記

2022年3月11日

内科学会教育講演 糖尿病とAGE




昭和大学内科学 山岸昌一教授 糖尿病は健康寿命を15年短くすると言われています。死亡リスクも1.8倍と上昇します。高血糖は癌、大血管障害、心房細動、心不全を引き起こします。高血糖はAGE(終末糖化産物)の生成を促進しそれは蓄積していくのです。つまり高血糖の暴露歴が様々な疾患誘発に関連しているのです。AGEは元に戻らないと考えられます。糖尿病の指標であるグリコアルブミンやHgA1CはAGEの前駆物質なのです。AGEは老化物質であり炎症を起こします。またAEGはAGE産生を促進する positive feed backをきたします。AGEは血管内皮機能を障害します。AGEはタバコ、ストレス、甘い物の過食、運動不足、睡眠不足、朝食をぬく、揚げ物、加工品などで増え、乳酸菌とは逆相関します。糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬はAGEのレベルを下げ血管の硬さを改善します。また近位尿細管での糖毒性をブロックします。AGEをブロックする薬剤が開発されてきました。臨床にも使われるようになってきたのです。

投稿者:KUSUat 14:57 | 日記 | コメント(0) | トラックバック(0)

2022年3月10日

神経学webセミナー 血栓回収術




日本医科大学神経内科学 木村和美教授 脳主幹動脈の急性血栓症では患者が搬入されると先ずMRIをとり、ついでt-PAを使いその次に血栓回収回収術を行うという手順になります。ところでt-PAの有効率が低いことと出血リスクを10倍にしてしまうという問題があります。血栓回収術の適応は6〜24時間でも可能です。主幹動脈の閉塞はt-PAの効果が殆んど期待できません。それで主幹動脈閉塞ではt-PAをスキップしてMRI後直ちに血栓回収術に入る方が時間を節約でき、かつ再開通の可能性も高くなると考えられます。初期段階で主幹の閉塞があるかを確認するスクリーニングとしてELVOスクリーンが提唱されています。Lは目の位置が偏っていないか(共同偏視)Vは何かを見せて言葉で答えるOは指4本を見せて本数を答える(視覚失認)。以上のうち一つでも出来なければ主幹の閉塞を疑い血栓回収術適応の可能性が高いと判断して進めます。これは感度86%特異度72%偽陰性6.9%擬陽性47%のテストで簡単で精度も悪くないと言えます。救急隊員がELVOスクリーンを行い主幹閉塞疑いは血栓回収術ができる施設に直接搬送することで貴重な時間を管理することが可能となってきました。脳梗塞の院内発症は全例の4.4%といわれ、特徴はafが59%で目立ち重症で成績もよくありません。院内発生は医療安全管理の範疇にいれてFAST(face,arm,speech,time)を念頭に疑われれば主治医を通さず看護師から直接われわれに連絡をもらい対処する体制をつくっています。このことで貴重な時間を浪費することなく治療に当たれるようになりました。

投稿者:KUSUat 15:44 | 日記

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