<< 2022/06トップページ2022/08 >>
2022年7月15日

教育講演 レビー小体型認知症




レビー小体型認知症の診断と治療 金沢大学脳神経内科学 小野賢二郎教授 レビー小体型認知症は認知症の中で病理学的診断ではアルツハイマー病についで二番目に多い疾患です。レビー小体はαーシヌクレインが神経組織に蓄積したものですが、多系統萎縮症でも認められる所見です。幻視、パーキンソニズム、レム睡眠行動異常(RBD)、自律神経症状、抑うつなど多彩な症状を呈します。意識の変動を認め幻視では小動物、人が見えることが多いですし、錯視を認めることもあります。脳血流SPECTで後頭葉の血流低下があります。DAT-SCANや心筋MIBGも有用です。図形転写が拙劣で嗅覚低下も特徴です。軽度認知機能低下発症、せん妄発症、精神症状発症のレビー小体型認知症があります。病理学的にレビー小体病理とアルツハイマー病理の両者のある混合病理のものがあります。 幻視についてはアルツハイマー病治療薬のドネペジルが効果します。精神症状に向精神薬を使うと薬剤過敏があるため注意が必要で抑肝散はよく使います。またセロクエル少量使用することもあります。パーキンソニズムに対してはゾニサミドは精神症状に影響を出さない為使い易いと思います。

投稿者:KUSUat 17:13 | 日記

2022年7月10日

神経学会地方会 帯状疱疹治療薬について




抗ヘルペスウイルス製剤使用についての考察 帯状疱疹の際に使用する薬剤はアシクロビル、パラシクロビル、ファムシクロビルがあるが腎機能障害があると用量調整が必要であった。新たに出たアメナメビルは腎臓に負担がかからないため高齢者など腎機能低下が想定される患者にも使えるため選択の余地が増えたといえる。 今回の中部地方会ではアメナメビルの薬剤的性質による弱点を指摘する二つの発表があった。帯状疱疹は免疫能が低下すると神経節などに潜んでいた水痘帯状疱疹ウイルスが活性化し末梢神経を伝って皮膚に至り皮疹を生ずるが、時に中枢神経系に広がり髄膜炎や脳炎を呈することがある。従来の抗ヘルペスウイルス薬は中枢神経系に移行できるがアメナメビルは中枢神経系に入れないという性質がある。従来薬では阻止されていた中枢神経における発症がアメナメビルでは阻止できないため皮膚疱疹が改善しても髄膜炎や脊髄炎の発症を見たとの発表であった。いずれもアシクロビルの点滴で改善を得ることができた。

投稿者:KUSUat 19:39 | 日記

2022年7月5日

高齢者てんかんと洞不全症候群




高齢者のてんかんは若年で起きるものとは症状も違い
診断も迷うことがあります。記憶がとんだり急に動き
が止まったり、呼びかけに反応しなかったりなど様々です。一時的な片側運動麻痺、一時的片側視野障害など意識障害のないものもあります。意識消失を繰り返すものもあります。CT,MRIの画像検査では診断できませんし脳波検査でも確定診断が困難なことが多いです。脳波異常がうまく検出されなくてもてんかんはありますし、脳波異常イコールてんかんでもないのです。発症の頻度やパターンがヒントになることも度々です。腹痛が発作というパターンもあるといいますが普通はてんかんを先ず疑うことは少ないのではないかと思います。ただ治療に関しては少量の抗てんかん薬で良くコントロールされます。このため診断に迷ったとき試験的に薬剤投与してその効果で診断することになるケースもあります。最近、3年前にてんかんと診断され2年前より当院で診ている80代の女性でコントロールが悪くなり薬剤を増やしても効果が得られないので普通と違う思っていました。診察の際は降圧薬も出しているため脈もチェックしていました。診察中に脈拍数が70から40に急に低下することがありホルター心電図をとると3秒以上の心停止もあり洞不全症候群であることが分かりました。この方はペースメーカーの適応で設置術が施行されました。洞不全症候群は3人目です。

投稿者:KUSUat 18:06 | お知らせ

<< 2022/06トップページ2022/08 >>
▲このページのトップへ