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2022年6月23日

バトンレクチャー 嚥下障害とパーキンソン病




パーキンソン病のピットホール嚥下障害 国立精神・神経医療研究センター 山本敏之先生 パーキンソン病の死因では肺炎が最も多く20%〜40%と言われている。嚥下造影検査ではパーキンソン病で45%、レビー小体病で83%に誤嚥が認められ、これが肺炎の原因と考えられる。咳反射が低下しており呼気流速も遅い。不顕性誤嚥が多く自覚が乏しい。様々なタイプの嚥下障害があり錐体外路障害によるものや口腔咽頭喉頭の運動神経や感覚神経にαシヌクレイン蓄積があり機能低下を起こしている可能性もある。不顕性誤嚥の気付きのヒントとしてはQ1ここ1年で痩せてきたかQ2薬をのむときにむせるかQ3食事中の動きの悪さが有るかなどをチェックします。食事中の動きの悪い人は83%が誤嚥をきたしています。対策としては食事のタイミングがonになるように服薬を調整することです。嚥下機能に障害があると薬剤が途中に引っ掛かり腸に到達せずonに入れない状況が持続してしまうことがあります。この場合は薬剤投与のルートや方法を変えなければなりません。ゾニサミドは効果が長時間にわたるためonを維持し易いと考えられます。パーキンソン病ではとろみをつけることで嚥下運動が遅くても誤嚥を防ぐことができます。

投稿者:KUSUat 21:34 | 日記

2022年6月20日

内科地方会教育講演 認知症




アルツハイマー病の治療戦略 金沢大学 脳神経内科小野賢二郎教授 現在、認知症と軽度認知症合わせて860万人になります。アルツハイマー病が64%血管性認知症が15%レビー小体型認知症が12%です。診断するには先ず治療可能な認知症を除外していきます。慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、てんかん、甲状腺機能低下症、B1欠乏、B12欠乏、H2ブロッカー、ジギタリス、抗ヒスタミン薬、梅毒、うつ病など多様です。とくに急速進行するものに治療可能なものが多い傾向はあります。アルツハイマー病は近時記憶障害が初発で言い繕いがうまく、礼節は保たれます。血管性認知症は物忘れは軽度で階段状の進行悪化が特徴です。レビー小体認知症は鮮明な幻視、パーキンソン病症状、レム睡眠行動異常が特徴的です。それぞれ画像による補助診断があります(脳血流SPECT,心筋MIBG,DAT-SCAN,頭部MRI)。長谷川式認知症スケールはアルツハイマー病の検出に向いています。遅延再生に対しての点数付与が大きいです。MMSEでは画像模写が不調で遅延再生が低下無い時はレビー小体型認知症が考えられます。中核症状に対する治療は現在対象療法ですが症状に合わせて2系統の薬剤を使います。例えば、興奮性が強い場合はガランタミン、メマンチンを使ってみます。根本的治療では神経組織に沈着するAβ(アミロイドベータ)を取り除く薬の開発が進んできていますが、早期の段階で使用開始しなければ効果を出すことは難しいと考えられていますので早期診断法の開発実用化も期待されています。

投稿者:KUSUat 23:41 | お知らせ

2022年6月9日

不思議な振戦




振戦(振え)はめずらしい現象ではないが原因誘因は多彩である。緊張した時に起きる振えは武者震いと言われることもあり殆んどの人が経験する。風邪などで急激に体温が上昇するときも振えがくる。これは悪寒戦慄という形で出てくる。免疫力を高めるため体温を上昇させる一連の反応と思えば理解できる。動物の発熱システムとして筋肉が使われているのだと思う。甲状腺機能亢進症では細かな振るえが出る。パーキンソン病の症状の一つとして静止時振戦が特徴と言われる。先日、四肢の振るえを訴えて来られた方があり、聞くと最近転びやすくなっているとの話であった。診察すると左右差のある軽度のこわばり(固縮)が有り、パーキンソン病であろうと思ったが振戦については念のため甲状腺ホルモンを測定しておいた。結果は甲状腺ホルモンの異常高値があり甲状腺機能亢進症であった。では固縮や転びやすさは何なのか。二つの病気が重なるのはめずらしいがパーキンソン病の精密検査も予定することにした。本態性振戦はめずらしい疾患ではないが高齢になると目立ってくることが多い。最近出会った振戦は点滴をしたり水分補給をしっかりやってもらって改善したので、脱水によっても振戦が誘発されること体験した。二人とも80歳を越えた方で一人は施設入所の人で自分では積極的に水分を摂らない人で点滴後振戦は消失した。もう一人は認知症の方で長い間で水分不足になっていたようだ。自宅なので家人に水分補給を管理してもらい振戦は消失した。脱水による振戦はこれまで経験したことがなく、また文献や学会での報告も見たことがなかったので貴重な体験であった。 

投稿者:KUSUat 23:04 | 日記

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