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2022年5月28日

神経学会総会 レビー小体認知症




パーキンソン病に伴う認知症(PDD)とレビー小体型認知症(DLB)の病理所見はほぼ同一である。初期症状がパーキンソニズムが主か認知症が主体かによってよって区別されているが両者を合わせてLewy Body Dementia(レビー小体認知症)という考え方が受け入れられるようになってきた。最近のDLBの診断基準の中には認知機能の変動、幻視、RBD(レム睡眠行動障害)とパーキンソニズムがある。DLBの認知機能低下は注意、視空間認知、遂行機能障害が主体となる。 
脳神経内科と精神科が診るDLBの違いは精神科ではPsychiatric-onset DLB であるのかもしれない。薬剤誘発性のDLB類似の症状はその後のDLB発症の予測マーカーとなる可能性がある。DLBにおいてL-dopa使用は薬剤誘発性精神病の懸念があるが必ず出現するものでは無いようである。

投稿者:KUSUat 11:51 | 日記

2022年5月21日

神経学会総会 高齢者てんかん診療




高齢者とてんかん 京都府立医科大学脳神経内科 田中章浩先生 てんかんの有病率は75歳以上で最も高く1000人あたり14.8人である。施設入所や入院に限ると10人に1人という高い数字になる。発作型は複雑部分発作や二次性全般性発作が多い。複雑部分発作では意識減損が30秒から3分間が多い。動作停止、凝視で始まる。自動症は口舌手等を目的もなく動かす。発作後朦朧状態(近似記憶障害、健忘)を呈する。緩徐な意識回復で側頭葉てんかんで見られることが多い。原因としては脳血管障害が多く認知症でも多く認められる。治療はレベチラセタム単剤低用量でコントロールできる。脳波は徐波はよく見られるが棘波などは上手く捉えられないことがあるが繰り返し検査することで検出率を上げることが出来る。認知症とてんかん 宇多野病院脳神経内科 木下真幸子先生 てんかんは認知機能障害をきたし、認知症はてんかん発作を合併することがあるという関係があります。症状は脳局在機能と関連して出現します。リバスチグミン等抗認知症薬剤は発作誘発きたすことがあるため注意して使用することは重要です。

投稿者:KUSUat 23:35 | 日記

2022年5月11日

投稿での蹉跌




脳梗塞の危険因子として夜間高血圧が以前より言われているが8年前より高血圧患者で夜間血圧の測定を行っていました。高血圧の方で日中の血圧がコントロールされていても夜間は高い場合があり投薬のタイミングを夕食後にするなど対応してきました。ところが3年前で夜間血圧記録システムの利用が終了になり代わりの手段を検討していました。 本来夜間は休んでいて血圧はむしろ低くなると思われるのに高くなるのは何故かとも考えてみました。その原因が睡眠時無呼吸症候群(SAS)とすると十分説明がつくのではないかと考え測定装置を調べてみました。確かにそのような測定装置(簡易終夜睡眠ポリグラフィーPSG)は有ったのですが胸にベルトを巻いたり鼻にカニューラを入れたりするため外来で気軽には使用しにくい物でした。そのような状況で新しいタイプの簡易PSGのウオッチパット(WP)に出会いました。イスラエルで開発された装置で指先につけたキャップと胸につけたイビキセンサーで無呼吸回数や酸素飽和度、脈拍数が分かるのです。私が診ている高血圧の患者さんは慢性期脳虚血患者が多いのですがWPで調べてみると8割が中程度以上、半数が重症のSASであることが分かり驚いたのです。日本では誰もこの様な外来での取り組みを行っていないので衝撃的で有った訳です。それで海外文献をみてみると10年前でも最近でもエネルギッシュな論文が既に出されていました。やはり日本では使い易い測定装置がなかったため実行されてこなかったと思われました。人生の1/3を占める睡眠時間はブラックボックスのままで有った訳です。この様な重大な知見が知られないままになると患者さんの治療に空白が生じます。世界に遅れガラパゴス化してしまいます。この事実を広く伝えなければと思い2年間の症例をまとめ学術誌に発表しようと原稿を投稿しました。しかし、診療データを使う発表は医療倫理委員会を通すことが条件であることを指摘され、躓いてしまいました。私が経験した事実は労力がかかっても何んとしても伝えなければならないと思っています

投稿者:KUSUat 00:23 | お知らせ

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