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2022年9月19日

オンライン漢方セミナー


総合内科領域で役立つ漢方薬 日高徳洲会病院 井齋偉矢先生  このセミナーでは各領域の先生から日常困っていることを伺い漢方による対応をお話します。今回は近森病院浅羽宏一にお聞きしました。 肝臓、心臓、腎臓に問題が無いのに下腿浮腫が出る方は越婢加朮湯ですが、色白・ぽちゃぽちゃした感じの人は猪苓湯が効果します。 慢性心不全で利尿剤など心不全の薬が出されている人が少し増悪した時は木防イ湯の使用も考えられる。 慢性腎臓病で高血圧、糖尿病、脂質異常のある高齢者において進行を遅くする可能性として生薬の黄耆末の使用で改善するという報告があります。 高齢の方で顔が火照り、首から上に汗をかくという訴えで顔の火照りには黄連解毒湯が、頭部の発汗には柴胡桂枝乾姜湯が良いと思います。 高校生ぐらいで朝起きられなく学校にいけないとの訴えに苓桂朮甘湯をだします。この薬は月経前症候群にも使います。 中年女性で四肢の皮膚表面がピリピリして服が触っても痛いという状態はアロデイニアという病態です。大防風湯と桂枝茯苓丸を合わせてのんでもらいます。これは帯状疱疹後神経痛にも効果があります。線維性筋痛症でも効果があったとの報告があります。 糖尿病性腎症で血液透析中の60代男性での立ち眩みによる生活困難には五苓散(対症療法的)、半夏白朮天麻湯(効果発現に3週間以上かかる)苓桂朮甘湯、真武湯が考えられる。 血圧が高い人の後頭部痛では葛根湯から麻黄を抜いた桂枝加葛根湯がよい。 むずむず脚症候群に抑肝散や柴胡加竜骨牡蛎湯を考える。四肢の冷えでは当帰四逆加呉茱萸生姜湯が使われるが最近は麻黄附子細辛湯が反応が良いように感じている。循環器内科的に異常が無く動悸が発作的に発現することだけの対策としては三黄瀉心湯を試す。これは鼻血にも効く。人前での赤面やどもりでは黄連解毒湯を使うが不安障害と考えっると半夏厚朴湯が使えると考える。しゃっくりでは葛根湯と芍薬甘草湯の組み合わせか茯苓飲を使う。煎じ薬では柿蔕湯(シテイトウ)がある。脂肪肝では小柴胡湯と桂枝茯苓丸の組み合わせが良いと思われる。

投稿者:KUSUat 13:59 | 日記

2022年9月17日

高齢者における脳波検査




認知症とてんかんを中心に 名古屋大学 脳とこころの研究センター 寶珠山 稔教授 神経活動は通常は脳波検査で行われます。各種意識障害、てんかん、認知症、脳血管障害、頭部外傷、プリオン病、中毒代謝障害、脳腫瘍等の診断治療に重要な検査です。てんかんの発症率は高齢化により老人において増加しています。10万人あたり10代60人40代40人75歳以上120人となっています。てんかんにはEEG(脳波)が必須です。高齢者のてんかんの特徴は部分てんが多く複雑部分発作や二次性全般発作が目立ち非痙攣性てんかん重積(NCSE)の時がある。持続時間や意識回復までの時間が長いもの(数時間から数日)があり後遺症や認知症の出現悪化を生じることもある。65歳以上のてんかんでは複雑部分発作が47%全般化を伴う複雑部分発作が40%で側頭葉てんかんが71%前頭葉てんかんが8%である。半数は原因不明15%が脳血管障害10%が認知症による。NCSEは脳波は重積を示すが痙攣のないものをいう。抗てんかん薬の静脈注射で臨床症状脳波所見共に改善する。症候性てんかんは脳血管障害後数か月から数年後に生ずることがあり頻度は7%で広範囲病変で生じやすく脳波上は焦点性であったりデルタバーストを呈したする。認知症においては脳血管障害性やレビー小体型認知症、認知症を伴ったパーキンソン病は初期より脳波異常を呈するがアルツハイマー病や前頭側頭型認知症では中等度以後で呈することが多い。進行性核上麻痺(PSP)では異常を呈さない。アルツハイマー型認知症では2〜6%レビー小体型認知症では3〜15%でてんかんを伴う。肝不全、腎不全、心不全、脱水、電解質異常、高血糖、低血糖、では脳症をきたす。脳波所見は徐波化、優位律動消失、θ波の増加、δ波の増加、低電位脳波の順で悪化する。三相波は特徴的な波のひとつである。

投稿者:KUSUat 17:39 | 日記

2022年9月5日

内科学会北陸支部生涯教育講演




難治性血管炎の診断と治療についての講演であったが巨細胞性動脈炎についての部分をまとめてみる。側頭動脈炎は頭痛、リューマチ性多発筋痛症は筋肉痛で当院でも何人かは診ているのですが病理学的には巨細胞性動脈炎ということになっています。殆んどが一二か月のステロイド投与で改善しますが少数の人が僅かな量を長期使用しています。今回の講演内容と比べると私の診ている患者さんは軽症または不全形であるといえます。浅側頭動脈や筋肉の強い圧痛がありステロイド投与で著明に改善します。頻度もめずらしいわけではありません。この講演で取り上げられた巨細胞性動脈炎は年間数は3000から4000人の間で厳格な診断基準を満たしたものであるようで数の少なさに驚きました。他の大型血管炎と比べ巨細胞性動脈炎と診断する際の基準として必須基準は50歳以上の発症であること、臨床的な特徴として肩・首の朝のこわばり、突然の視力低下、新規の側頭部頭痛、頭皮の疼痛、浅側頭動脈の異常所見があり、検査ではCRPが1.0mg/dL以上、浅側頭動脈生検での陽性または超音波検査でのhaloサイン、両側腋窩動脈病変などです。私が診ている殆んどでCRPは1.0mg/dL以下です。浅側頭動脈の強い圧痛がありますが盛り上がるような形態的変化はありません。ただこの講演では巨細胞性動脈炎は大血管の病変を合併することがあり鎖骨下動脈、腋窩動脈、大動脈において注意する必要があるとのことでした。

投稿者:KUSUat 14:27 | 日記

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