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2022年12月27日

ゆらぎ現象の一年間


ゆらぎ現象という言葉が有って、事象は平均的に出現するものではなく不均等に立ち現れるものだというふうに理解していました。日常診療でいうとある期間に同じ病気の患者さんが何人も来られることを経験します。今年はパーキンソン病の患者さんが何人か続きました。しかも同日に二人受診されることもありました。そして時期を過ぎると新たに来られる方がしばらくなくなるという具合です。天候や季節に影響される病気では理解できるのですが、そうでない病気で法則性をつかもうとすると頭が混乱するため、ゆらぎ現象だと無理やりみなしている面もあります。一昨年は聴神経鞘腫、昨年は脳下垂体腺腫が短い期間に複数ありました。来年は何が現れるか分かりませんが十分な対処をしていきたいものと思います。今年はもう少しとなりましたが、いろいろ大事な事を始めることになった年でした。

投稿者:KUSUat 23:02 | お知らせ | コメント(0) | トラックバック(0)

2022年12月16日

パーキンソン病の嚥下障害


パーキンソン病の嚥下障害 国立精神・神経医療センター病院 山本敏之先生 パーキンソン病に於ける嚥下障害は後期進行期ではよく見られる。20〜44%が肺炎により死亡している。特に誤嚥している患者では肺炎リスクが高い。パーキンソン病の45.8%レビー小体病の83.4%が肺炎に罹患するという。パーキンソン病患者は咳嗽反射の閾値が高く咳が出にくいうえに随意の咳も気流が遅いという状況にあります。これらは誤嚥を起こし易い条件と言えます。嚥下機能の低下は重症度には必ずしも相関してはいません。自覚が乏しく不顕性誤嚥を起こします。パーキンソン病の誤嚥の原因は錐体外路徴候によるものの他嚥下筋群運動障害(αシヌクレイン蓄積)舌咽神経・上喉頭神経感覚障害(αシヌクレイン蓄積)食道入口部開大障害、姿勢障害、中枢パターン発生器の異常などが関与しています。誤嚥の可能性の判別では1年で体重が減って痩せたか、服薬時むせるか、食事中に動きの悪い時があるかをチェックします。対策としてはウェアリングオフがあれば食事時間をオン時間にもっていく、嚥下訓練をする、胃瘻などがあります。抗パーキンソン薬で運動障害が変わらなくても嚥下が改善することはあります。L-dopaの血中濃度は空腹時服用では2時間で下がりますし、食後服用では立ち上がりは悪いが濃度は長めに維持されます。このような特徴も考え服薬タイミングを決めていきます。頻回投与は時間管理が難しくなる点が問題となります。ラサギリンはオン時間を増やし有用です。嚥下障害があると薬が停留し吸収ができない状況が出現し日内変動の原因となることもあります。たとえば貼付薬で症状改善をはかってから服薬するという方法もあります。顎を引き頸部伸展を改善すると有効なこともあります。また梨状陥凹の残留は頸部を回旋して嚥下することで改善します。頭部挙上訓練や嚥下おでこ体操も有効です。一度栄養失調になったパーキンソン病患者は改善し難いので姿勢を改善したり、とろみをつけた食事を工夫したり、嚥下訓練をしたり薬物療法以外の対応も必要と考えられます。

投稿者:KUSUat 18:43 | お知らせ

2022年12月1日

講演 振えの対処について


振えの診断治療 名古屋大学神経内科 坪井崇先生 振戦の診断は部位やパターン、その他症状に加えMRIや血液検査等を参考にして行われます。パーキンソン病は動作が緩慢で固縮を認め安静時の振戦が特徴です。動かすと一時止まり、その後振戦が強くなります。このような振るえをReemergent tremorといい7割に認められます。書字は書き出すときちんと書けます。本態性振戦では動かしても変化はなく書字は高度に障害されます。動作や運動時に出現する振戦は生活に支障を来します。パーキンソン病ではlevodopaが有効であるが用量が多い。プラミペキソールや非ドーパミン系のゾニサミドが使われます。トリヘキシフェニジルも使われますが高齢では認知機能への影響も考えます。脳深部刺激(DBS)も効果があります。70歳以下でlevodopaが効果ありウエアリング オフやQOLの低下がある場合考慮されます。集束超音波療法(FUS)は62%で改善が見られます。ただ日本では片側のみ認められています。本態性振戦ではベーターブロッカー、プリミドンが使われます。本態性振戦があるとパーキンソン病の発症率が高くなるという報告もあります。

投稿者:KUSUat 00:11 | お知らせ

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