2015年6月27日
高齢者の漢方
富山大学和漢診療学講座 野上達也先生
高齢者では譫妄、抑うつ、食欲不振、しびれ,排尿異常などが問題になる。
認知症周辺症状では抑肝散の使用で幻覚、興奮攻撃性、焦燥感、易刺激性が改善することが知られている。
従来から使われてきた向精神薬は眠気、無気力、パーキンソン症候群の問題があるが漢方ではこれらが避けられることが大きな利点である。
不安、うつには帰脾湯、加味帰脾湯、半夏厚朴湯が使われるが、これらも安定剤のような眠気がないのが老人には有利である。
釣藤散は脳血管性認知症に有効である。
無気力には補中益気湯、六君子湯、十全大補湯、人参養栄湯が考えられる。
腰痛、冷えには八味地黄丸、牛車腎気丸を試すのがよい。
老人は副作用に脆弱であるが、甘草(カンゾウ)は低カリウム血症(偽アルドステロン症)、オウゴンは間質性肺炎や間質性膀胱炎、サンシシは腸間膜静脈硬化症に注意しなければならない。
麻黄(マオウ)はエフェドリン系アルカロイドであり尿閉、緑内障、幻覚、血圧上昇に注意が必要である。