2016年8月13日
薬の話 (4)脳血栓症の薬
脳血栓症の薬は症状を治す薬ではありません。発症を予防するための薬剤です。 脳血栓症に罹患し症状が残っている場合、リハビリや時間的経過による回復や脳循環改善薬などにより症状は改善します。 症状が無くても脳血栓症の薬をのみ続けるのは再発を防ぐためです。血管障害は発生する直前まで症状がないことが殆どです。そのため服薬の目安を症状を基準としてしまうと間違うことになります。 狭い意味での脳血栓症の予防薬は抗血小板薬です。動脈内で血栓ができるのは先ず血小板が凝集してできる血小板血栓が基になります。それに繊維素がくっついてフィブリン血栓になり血栓が完成するのです。抗血小板薬は血小板の機能を抑制し凝集しにくくして血栓出現の最初の段階をブロックするのです。 広い意味での脳血栓症の予防薬は高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症などの薬です。これらの病気は動脈硬化を進行させ脳血栓症の発症率を高めています。現在使われている抗血小板薬は(a)アスピリン、(b)シロスタゾール、(c)クロピドグレルと最近出てきたクロピドグレルの仲間の(d)プラスグレルです。 (a)は歴史があり価格も安いのですが効きがよい人とそうでない人があり、長期使用で胃潰瘍のリスクが上がること、脳出血の率が少し上がることがあります。(b)は脈が上がることがよく問題になります。心不全のリスクが稀に上がるとの報告もありますが、脳出血の率は上げません。(c)は効きのよい人とそうでない人があること、脳出血の率が少し上がること、服薬開始時の肝機能に注意を払うこと知っておく必要があります。(d)は新しいので特徴の全貌は分かりませんが効果の個人差がないのが利点の一つです。