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2017年4月20日

講演会 深部脳刺激療法(パーキンソン病)


金沢脳神経外科病院 旭雄士先生 DBS(脳深部刺激療法)はパーキンソン病治療における有力な療法の一つです。この治療は軽症のうちに行うのが効果的です。L-dopaの反応が良好で年齢が若く罹病期間の短いものが良い効果をだします。高齢者では認知機能の低下や脳内出血のリスクを考えると不利となります。年齢は70歳まで(場合によっては75歳)を対象にしています。ただ姿勢反射障害やすくみ足はコントロールが難しいし、パーキンソン病そのものは治る分けではありません。また認知症状やしゃべりにくさも改善は期待できません。しかし全体的な運動機能は改善し服薬量もかなり減らすことが可能です。パーキンソン病とレビー小体病ではDAT-SCAN,心筋MIBGが共に異常ですが他のパーキンソン症候群(DAT-SCAN異常)や本態性振戦、アルツハイマー病(いずれも正常)ではそうなりません。DBSで術後注意が必要なのは急激にドーパミンやアゴニストを中止すると無気力、うつ、無快楽、体幹幻覚が出現し自殺を図ることもあることです。これはDAWS(Dopamine Agonist Withdrawal Syndrome)といわれます。症状が良くても少量でも薬を持続することが大事です。その他、本態性振戦やジストニアは視床破壊術が有効です。生活に大きな支障が出る場合に考慮すべき治療法です。

投稿者:KUSUat 22:39 | 日記

2017年4月7日

教育講演 めまいのリハと漢方の選択


めまいのリハと漢方薬の選択 横浜市立みなと赤十字病院 新井基洋先生 めまいの原因は大きく分けて耳からのものと脳からのものがあります。全年齢を通じて圧倒的に多いのは耳性めまいですが、高齢では脳からのものが増えてきます。臨床症状やCTなどで多くは仕分けできますが小脳梗塞は運動麻痺がなく、早期ではCTに異常が出ず見逃さないよう注意が必要です。下部小脳の内側梗塞では定方向性水平眼振のみで他の小脳症状が認められないことがあります。小脳性か内耳性かを見分ける検査で閉眼50歩足踏み試験があります。体軸がまっすぐでコマのような回転は末梢性、軸が倒れるのは中枢性の可能性が大きいといえます。めまいのリハビリも中枢性と耳性にわかれます。片腕を前に伸ばし親指を立て、腕を左右30度の範囲で20回動かし親指を追視することで小脳機能の改善ができます。内耳機能のリハビリは片腕を同様に前に出し今度は親指を注視したまま頭部を左右30度の範囲で動かします。たとえば左回転で注視する眼の動きが遅れると左内耳(前庭)の障害があります。良性発作性頭位めまいは最も多いめまいです。これは内耳にある耳石が一部遊離して半規管に入り刺激することで生じます。これは頭位を変換するいくつかの方法で改善します。慢性加齢性平衡障害は脳機能、下肢筋力低下など複数の原因で生ずるようです。爪先立ちで腓腹筋の筋力を強化し、片足立ち、つぎ足歩行で脳や下肢筋力をきたえます。めまいの薬は種類が少なく最近は新しいものは出ていません。漢方の半夏白ジュツ天麻湯は西洋薬と同じく効果があり特に65歳以上で胃腸虚弱な人によく効きます。苓桂ジュツ甘湯は自律神経性のめまいに効果があります。

投稿者:KUSUat 11:21 | 日記

2017年4月1日

薬の話(11)様々な薬効 1


薬の作用は実に様々です。我々が望んでいる作用は薬効(主作用)といい、その他の作用は副作用といいます。副作用の中には不利益なもの、無害なもの、そして利益になるものがあります。つまり薬の開発や発見の時点では期待や予想されていなかった作用で有用なものも薬効とされることになります。そのような作用を知っておくことで治療の選択肢を拡げることができるのです。通常、健康保険で使うことのできる薬剤の説明書には薬効が記載されていますが、これはデータを集め厚生労働省に申請され認められたものしか記載されていないのです。副作用で記載されているもので使えるものもあります。たとえば眠気の出る薬剤であれば、不眠症の人で夜に使えば睡眠薬を減らしたりすることがあります。副作用は使い方によっても意味が変化します。昔は薬の調合は匙を使い、使い方の調整をさじ加減といいました。匙は使いませんがさじ加減はあるのです。様々な薬効について具体例をあげてみます。抗うつ薬のトラゾドンは眠りを深くする作用があります。一般に抗うつ薬は少量長期で不安感を減らす作用が期待できます。てんかんの薬のクロナゼパム(リボトリール)は顔面痙攣、むずむず脚症候群、本態性振戦に効果があります。本態性振戦には血圧、狭心症の薬のβ-ブロッカー(アルマールなど)が効果します。また少量(メインテート)で心不全に効能があります。てんかんの薬のカルバムアゼピン(テグレトール)は三叉神経痛をコントロールします。次回に続く。

投稿者:KUSUat 23:32 | 日記

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