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2017年3月26日

内科教育講演 糖尿病


糖尿病の病態と治療  京都大学糖尿病内分泌学関西電力研究所 矢部大介先生糖尿病は世界的に増加傾向にあり特に日本を含めアジアでの急激な増加が予測されている。2型糖尿病はインスリン分泌不全とインスリン感受性低下に起因する。東アジア人はインスリン分泌能が欧米人と比べ低く、軽度のインスリン抵抗性で発病してしまう。食事の半欧米化が関連していると思われる。食事・運動療法を含めた生活習慣改善が重要である。薬物療法においても低血糖リスクが少なく腎機能も考慮して薬物選択を行う。低血糖は大血管、小血管障害を悪化させ、また認知症のリスクを1.6倍にする。インスリン、SU剤は低血糖を来たし易い。HbA1cは65歳から75歳で下限を6.5%、75歳以上で7.0%にするようにコントロールする。食事は内容はもちろん重要であるが食べる順番も大切である。先ず最初に野菜を食べる。これは腸管からの糖の吸収を抑制する。次にタンパク質を摂る。タンパク質はインスリンの分泌を促す。魚が最も勧められる。肉では同時に脂肪も摂ることが多くなる。最後に炭水化物(ご飯、パン、麺類)を摂ることで血糖の上昇は緩やかになり少なくなる。DPP-4阻害薬は低血糖をきたしにくい。SGLT-2阻害薬はイベントを14%低下させ、腎機能低下も抑制する。

投稿者:KUSUat 12:29 | 日記

2017年3月20日

内科教育講演 血液凝固検査の解釈


血液凝固について金沢大学浅倉英策教授 血管内の血液が普通は凝固しないのは血管内皮細胞に多くの抗血栓性物質が含まれるためである。凝固には内因系と外因系の凝固活性化機序がある。プロトロンビン時間(PT)は外因系を反映し、肝不全、ビタミンK欠乏、ワルファリン内服で延長する。活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は内因系を反映し、血友病、von Willbrand病、ループスアンチコアグラント等で延長する。出血素因の検査としては先ずPT、APTT、フィブリノゲン、FDP、出血時間である。FDPとDダイマーは静脈性血栓、DICなどの血栓性疾患の診断に使う。抗リン脂質抗体症候群は血栓症や習慣性流産を起こすが抗カルジオリピン抗体、ループスアンチコアグラントを測定する。血小板検査では幼若なものは大きく、古いのは小さい。再生不良性貧血では小さくなる。血小板数は心筋梗塞とは無関係である。血流の速い動脈では血小板の関与が大きく、遅い静脈では凝固因子の関与が大きい。近年出てきたDOAC(direct oral annticoagurants)はワルファリンに効果は勝り副作用の出血は少ない。ただ効果をモニターする方法は確立されていない。

投稿者:KUSUat 20:23 | お知らせ

2017年3月7日

薬の話(10)薬の形態


普通一般的にいう薬は口から摂るものがほとんどです。現在では錠剤の形が多いようですが50年以上前ですと粉薬もたくさんありました。粉薬は薬効成分を粉の状態で混ぜ合わせたものでした。粉薬は扱いにくく、また薬の吸収におけるコントロールがしにくい面がありました。粉をカプセルに入れることで扱いやすく、またカプセルの溶けるタイミングを調整することで薬を消化管のどこに届けるのが最適かをコントロールすることができるようになりました。また従来ある丸薬のように単位でのみやすくした錠剤がでてきました。錠剤にも粉薬を固めただけのものもありましたが、砂糖のの衣をかぶせてのみやすくした糖衣錠もできてきました。錠剤は薬効成分とそれを固める基剤からなり、基剤を工夫することで溶ける速度や消化管のどの部位で溶解するかを調整することができるようになりました。また錠剤の表面を溶けにくい物質でコーテイングすることで溶ける速度や場所をコントロールすることもできるようになっています。コーテイング錠は割ったり砕いたりすると効果に変調をきたすため注意が必要です。薬剤の有効成分は吸収代謝過程の違いですぐに吸収されピークに達し短時間で消失するものもありますが、長時間効果を保つため少しずつ吸収されるよう工夫されています。薬効成分が同じであっても製剤の技術が伴なわないと十分な効果を得ることができないことがあります。

投稿者:KUSUat 22:56 | 日記

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