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2017年6月12日

認知症治療フォーラムin金沢


認知症とフレイル 大阪大学医学部 老年・綜合内科学 竹屋泰先生 最近の高齢者は以前に比べ元気であるといえます。以前は65歳以上を高齢者としていましたが見直しされ65歳〜74歳を准高齢者75歳〜89歳を高齢者90歳以上を超高齢者というふうによぶのが実状に則していると思います。単に年齢だけでの対応は現実と乖離することになります。しかし高齢になると小さなことで要介護状態になる状況になることがあります。これをFrailty(日本ではフレイル)といい米国基準では体重減少、握力低下、歩行速度低下、疲労感、身体活動量の低下のうち、3つ以上あれば判定されます。フレイルも分類すると認知力、摂食力、社会的、身体的そして我々が提唱する薬剤性があります。薬剤性は薬そのものの性質や量、多種類服用などが関係します。睡眠薬、安定剤、抗ヒスタミン剤は薬剤性フレイルを引き起こします。 認知力の低下では悪化の速度が速い中間期に適切な薬剤を使用することが奨められます。周辺症状にはケアで改善を図るよう努めます。患者さんは不安があり安らぎがないため思い込んだり不穏になるなるので、寄り添ったり、いなしたり、別の話に誘導したりと対応するようにします。最近、認知症では運転免許更新に制約がもうけられました。運転免許がなくなると喪失感が強くなり症状悪化も懸念されますが、何かを失う際には何かを新たに得るよう工夫することが必要です。。

投稿者:KUSUat 16:28 | お知らせ

2017年6月9日

認知症フォーラムin小松


認知症をめぐる最近の動向  神戸大学 古和久朋教授 認知症の原因の85%は変性疾患です。つまり認知症は進行性の病態であることがほとんどと言ってよいわけです。中でもアルツハイマー病が最も多いので重要です。アルツハイマー病の確定診断は病理診断です。脳神経細胞周囲にアミロイド・ベータ(Aβ)が蓄積してできる老人斑、神経線維にリン酸化タウが集積して起こす神経原線維変化、神経細胞の減少が診断根拠です。治療としてこのアミロイドを取り除くことで症状を改善しようとアミロイドに対する抗体をつくり患者に投与されました。しかし効果判定では優位な差は確認できていません。アルツハイマー病はアミロイドが約20年かけて脳に蓄積され発症すると言われますが、極早期(プレクリニカルアルツハイマー病)に予防しないと効果がないのかも知れず研究する必要があります。現在PETによるアミロイド画像化が可能ですが、先ずなんらかの方法で対象をしぼることが必要です。いくつかの検査方法で早期発見の手がかりを確立したいところです。現在行われている治療は神経伝達部位で減少しているアセチルコリンを減らさないように働く薬剤を使う対症療法です。これには3種類ありますがガランタミンは鎮静方向にも働き神経保護作用もあるのではないかといわれております。

投稿者:KUSUat 23:01 | 日記

2017年6月1日

地域医療連携講演会 食べること生きること


最後まで口から食べられるために ふれあい歯科ごとう 代表五島朋幸先生 私が訪問歯科診療を始めたのは20年前で、訪問診療の内科の先生に要望されたのがきっかけです。当時は歯科の訪問診療は日本には殆どありませんでした。実際に始めてみると口腔内の管理や摂食に関してなにもなされていないのが現状でした。始めてしばらくして、口腔ケアをすると寝たきりの状態の人でも誤嚥性肺炎を予防でき予後が改善されるという報告が発表され、そのことが訪問歯科を進める追い風となりました。きちんと食べられる状態になることは栄養状態の改善はもちろん、非経口での栄養摂取に比べ腸由来の免疫能を高めることで生命予後の改善に大きく影響します。歯科は先ずより良い口腔環境を維持すべく義歯を調整したり口腔内の手入れを指導します。また食べる機能が低下している状況を分析し対策をたてます。口から食べると言うことは歯で噛んで舌で奥に送り飲み込むことです。咀嚼は口に入った物を認知(口腔認知)することでスイッチがはいり、噛んで唾液と混ざった食べ物を頬や舌の動きで飲み込める形にする(食塊形成)ことです。この食塊を飲み込んで胃に送ることが嚥下です。嚥下は口腔認知、嚥下反射、嚥下力、首特に僧帽筋の柔軟性、呼吸のコントロール、正しい姿勢などが関与します。この事を考え条件を改善することが必要です。咀嚼の障害か嚥下の障害かを判定(食形態判定)しなければなりません。前者では口に溜めなかなか飲み込みません。後者はむせる傾向にあります。前者の障害はとろみ無し、後者はとろみ有り、両方の障害はペーストゼリーの経口とします。口から食べることで元気が出て生活の質が上がります。癌治療で末期においても経口摂取を部分的であってもできれば患者さんは闘病のつらさを減らすことができます。

投稿者:KUSUat 23:19 | 日記

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