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2018年5月25日

日本脳神経外科コングレス




救急医療における外傷性頸髄損傷 大阪市立大学脳神経外科 高見俊宏先生 四肢体幹の機能不全、呼吸障害、排泄障害をきたしADL,QOL生命予後への影響は大きい。我が国での特徴は高齢者の転倒後の発症が多いことです。非骨傷性、上位、中下位頸髄損傷に分ける。上位ではスペース的余裕があるが骨折転位で圧迫のあるものは固定や徐圧が必要です。症状の軽度のものは保存的に対処します。椎骨動脈損傷に関しては抗血小板薬などの使用を考慮する場合もあります。
抗血栓療法のリスク・ベネフィット・適応 九州医療センター 岡田靖先生 脳梗塞急性期の抗血栓療法としてアスピリン(200mg)の早期開始、初回量300mg/日のクロピドグレルの使用、抗血小板薬2剤(1年以内)の併用などがある。抗血小板薬は出血のリスクを高めるが、降圧は全てにおいて効果的であり130を越えないように保つようにする。微小出血のあるものや高齢者の出血、皮質下型出血’(アミロイドアンギオパテイー)の出血予防に効果があった。アテローム血栓にはクロピドグレルが有効で、非弁膜性心房細動の脳梗塞にはDOACが有効であった。

投稿者:KUSUat 20:55 | 日記

2018年5月19日

脳神経内科への変更




神経内科の標榜を脳神経内科へ変える日本神経学会の要請の理由は何なのでしょうか。やはり神経という言葉が日本では内科的な意味と精神科的な意味の両方を持っているからだと考えると分かり易いと思います。神経質から派生する不安症や不眠症は重症であれば精神科が診療するのが良いと思います。身体症状を伴えば心療内科で診てもらうことになります。一方、神経内科は脳と脊髄、末梢神経それと筋肉に起きる病気を扱います。頭痛、めまい、ふらつき、麻痺、振るえ、認知症状、言語障害、意識障害、ひきつけ、複視など多彩な症状は何れも神経系の病気で生ずるのです。頭痛だけでも複数の原因があります。それらの原因をしぼり込み内科的治療するのが神経内科です。アルツハイマー病、パーキンソン病、脳梗塞、脳出血、脳塞栓などはめずらしい病気ではありません。脳疾患の比率が多く脳神経外科がそうであるように脳神経内科という方が混乱せず受診できるのではないでしょうか。頭部外傷、脳腫瘍は脳神経外科だけが診る領域ですし、神経変性疾患などは神経内科が診ます。脳梗塞、脳出血、脳塞栓は両方で診ることがあります。専門領域は棲み分け的なものがあるのですが必ず重なる領域を持っています。診療の精度を上げるには実は精神科的素養も必要とされます。全てをカバーすることはできませんが、患者さんが迷わないよう見直し工夫していくことは必要と思います。

投稿者:KUSUat 00:39 | お知らせ

2018年5月1日

脳外科学会地方会 福井




高齢者の三叉神経痛に対する微小血管減圧術 藤田保険衛生大坂文種報徳会病院脳外科 宮谷京佑先生  75歳以上の8例につき検討した。方法は全ての例で圧迫血管周囲を神経内視鏡下に手術用顕微鏡の死角部の確認を行った。術中ICG蛍光造影で圧迫血管と穿通枝の血流確認を行った。結果は全例で改善を得ることが出来た。圧迫血管と神経の位置関係の確認は必須であり、このことで手術の効果を確実にすることができる。また血流の確認で合併症を予防できた。
頸動脈内膜剥離術(CEA)の縦切開と横切開の術野の違い 豊田厚生病院 圓若幹夫先生 不安定なプラーク、プラーク量の多い狭窄病変、高度石灰化病変ではCEAが頸動脈ステント術(CAS)に対して優位性を持っている。またモニターで(SEP等)で変化がみられる場合は内シャントを行って手術を進めている。頸動脈をなるべく遠位まで確認できると手術操作が容易になるが皮膚の縦切開と横切開で比較してみた。縦切開では最高第1頸椎下縁レベルまで、横切開では最高第1頸椎上縁レベルまでの観察が可能であった。内シャントの必要な場合も想定すると頸動脈の展開が安全に行われる横切開により確実な手術が期待できる。
Segmental Arterial Mediolysis(SAM)のクモ膜下出血 愛知医科大学脳神経外科 伊佐治泰己先生 SAMは小中動脈(腹部動脈、頭頸部動脈、冠動脈、腎動脈、肺動脈など)に特発性の非炎症性・非動脈硬化性血管疾患である。多発動脈病変(動脈瘤、動脈解離)を形成し腹腔内出血やクモ膜下出血を発症する。SAMは中動脈血管壁中膜の平滑筋細胞の融解より特徴づけられる。多発性に血管病変があり多発性に血管障害が起きる場合には考慮すべき病態の一つといえる。

投稿者:KUSUat 08:37 | 日記

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