<< 2019/12トップページ2020/02 >>
2020年1月28日

石川てんかんシンポジウム (2)


高齢者てんかんをめぐって(2)   防衛医大精神科吉野相英教授  高齢者てんかんは認知症を擬態することがあります。発作後認知障害があり遷延化し易い特徴があります。もうろう状態、集中困難、意識障害、見当識障害などを呈するのです。TGAも症状では鑑別が難しいことがありますが、通常は1回ですので経過とともに整理されていきます。Transient Epileptic Amnesia(TEA一過性てんかん性健忘)は起床時に好発し数分から1時間内が多い(時には1日以上に及ぶ)健忘症です。これは抗てんかん薬がよく効きます。繰り返すと自叙伝的な重大な記憶の低下をきたし、長期記憶の忘却が加速します。非痙攣性てんかん重積状態(NCSE nonconvulsive status epileptics)は認知障害、意識障害、呼吸障害、自律神経障害などを呈し意識して脳波をとらないと見逃してしまいます。高齢者の脳波は覚醒時に異常が出にくい傾向があるため我々は検査前にラボナ50mgを経口投与し脳波検査を行っている。高齢者てんかんは抗てんかん薬少量でコントロールされることが特徴です。最近出てきたラコサミドやレベチラセタムは従来のカルバムアゼピン、フェニトインがドネペジル、ガランタミンなど他剤の代謝に影響するのに比し使い易いといえる。ラコサミドは腎機能障害が少なく他副作用も少なく継続率も高いといえる。ナトリウムチャンネルブロッカーは気分障害に対しても効果がある。  

投稿者:KUSUat 00:12 | 日記

2020年1月21日

石川てんかんシンポジウム 金沢


高齢者てんかんをめぐって  防衛医大精神科吉野相英教授 てんかんの年間発症率は小児期に高くその後下がり60歳を越えると再び上昇し小児期を上回るJカーブを示します。高齢者での特徴は先ずけいれんを伴わない、エピソードの鑑別診断が多い、すでに他疾患での服薬があるため抗てんかん薬との相互作用や副作用に注意などがあります。焦点意識減損発作(複雑部分発作)の形が多いのですが発作が目立ちません。持続が短く、自動症が少なく、前兆が少ないのです。発作後のもうろう状態が長く続くことがあり認知機能が低下し抑うつ症状も呈します。鑑別には心原性や神経調節性の失神、TIA(一過性脳虚血発作)やTGA(一過性全健忘)などの脳血管障害、低血糖や低ナトリウム血症のような代謝障害、他REM睡眠行動障害が考えられます。原因には脳血管障害由来が考えられますがMRIで一側偏桃体の膨大ををよく見ますが、これは薬物治療に反応し易く海馬硬化では効き目が少ないことが分かっています。一方アルツハイマー病でもてんかんになり易く77%はアルツハイマー病発症前に発作があるといわれます。MMSE24点以上の人にもてんかん発作は生じます。アルツハイマーの早い段階でてんかんが出るということはβアミロイドの貯まり始める頃と相応します。ダウン症ではβアミロイドの蓄積が有りますがてんかんを伴ってきます。10歳で老人斑が出現し50歳で半数がアルツハイマー型認知症になるといわれます。アルツハイマー病では海馬の症状を呈さない(subclinical)放電があり、このてんかん源性がアルツハイマーを進行させるとも考えられています。

投稿者:KUSUat 00:35 | 日記

2020年1月5日

年の初めに


今年の抱負は、これまでの日常診療で考えたり見つけ出した手法をもう少し広く知ってもらうことに力を入れることです。  足腰運動で提唱した半スクワットはフレイル学会のフレイルのスクリーニング検査そのものですし、つま先立ち(かかと上げ)は自重を全て利用した腓腹筋強化法です。いずれも強度を調整でき、かつ安全に行えるのでフレイルの人から現在支障のない方まで行うことが可能です。速足歩きは斜め前方への跳躍なのですが、この時使用する筋肉を強化することになるのです。  ウオーキングストックの使用は転倒予防と姿勢保持に有効です。これはより過酷な高山登山で何度も試し効果を実証しました。基本は2足歩行を4足歩行にもっていけば転倒しにくくなるということです。足元が不確かになる一歩半前から慣れていくのが理想的です。家の中で先ず使い慣れることやノルデイツクウオークを始めるのがよいでしょう。2本のストックは触角としての機能もあり視覚障害者がストックを使えば思わぬ転落や転倒を防げるのではないかと思います。この時のストックの使い方については現在思案試行中です。  良性発作性頭位性眩暈(BPPV)は眩暈の中では高頻度に出会う疾患です。神経学的検査やCTなどで他疾患が否定出来た時の治療にはエプリー法や薬物療法が有りますが、シンプルな方法で改善治療することができます。BPPVには頭を動かすと眩暈が改善する減衰現象(慣れ現象)が有ります。急激な頭位変換が眩暈を誘発するのですからこの現象を利用して前もって細かな頭位変換を行ってから動くようにするのです。特に起床直前、就寝直前には必ず行うようにします。また頭位変換を頻回に行っている内に耳石片が消失して治癒してしまうのです。この方法は耳石片の存在部位を考慮せず可能なので誰にでもできることが特徴です。  脳神経疾患を持った方の自動車事故予防のため、自動ブレーキ装着車への乗り換えを推奨してきました。これは21年から全新車に義務化になったので私が頑張らなくてもよい状況になっていくと思います。 まだいくつか考えることはありますが形を整えないと使えないようです。今年は上に述べたいくつかでも人に利用してもらえるようになれば良いと思い努力していきます。

投稿者:KUSUat 23:45 | 日記

<< 2019/12トップページ2020/02 >>
▲このページのトップへ