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2021年3月26日

教育講演 SGLT2阻害剤




心不全治療におけるSGLT2阻害剤への期待 名古屋市立大学医学部 循環器内科 瀬尾由広准教授  体液貯留は腎臓、心臓に影響を及ぼします。糖尿病(DM)は腎臓でのナトリウムの再吸収を亢進させますから体液の増加があります。DMがあると通常より2倍心不全になり易いと考えられています。また心不全の場合20〜30%の方がDMです。心腎は連関しています。心拍出量が減少すると静脈うっ滞が起き静脈圧は上昇します。SGLT2阻害剤は腎でのナトリウム、ブドウ糖の再吸収を阻害します。またナトリウムの存在下で効果するループ利尿剤の作用を強化することになります。浮腫にかんしてはループ利尿剤は血管内での除水効果がありSGLT2阻害剤は間質の浮腫に効果があります。SGLT2阻害剤は急性心不全にも効果が期待され慢性心不全で効果が証明されています。この場合右房圧の高い人で効果がでます。腎臓では保護効果が認められています。糸球体での輸入細動脈を細くして圧負荷を減らし、また近位尿細管のO2消費を下げ造血因子(エリスロポエチン)を回復させます。さらに交感神経活性を抑制します。以上はDMの有る無しに関わらず使用でき効果が期待できるのです。心不全では、ループ利尿剤、SGLT2阻害薬の組み合わせが有力な治療法として考えられます。

投稿者:KUSUat 22:49 | 日記

2021年3月15日

パーキンソン病を語る会(福井)




パーキンソン病の薬物治療 順天堂大学 神経学
斉木臣二准教授  パーキンソン病の症状はこれまで振戦、固縮、寡動がいわれてきましたが、自律神経症状も重要です。便秘、排尿障害、起立性低血圧など生活に大きな影響をきたします。中枢神経の黒質や基底核にレビー小体を認め神経伝達物質であるド−パミンが低下します。自律神経障害は末梢での障害ですが、迷走神経切断によりパーキンソン病が出にくくなる現象から、末梢から中枢にかけて病態が進むということも想定されます。治療は中枢でドーパミンを補うことですが、血液脳関門のためL-dopaの形でないと脳内には取り込まれません。L-dopaは代謝が速く、遅くするためにカルビドパまたはベンセラジドを合わせた合剤が使われます。ただし、パーキンソン病と診断されていても7%の人では効果が無く30〜50%では効果が少ないと言われます。この原因の一つとしてピロリー菌感染による吸収障害や腸内細菌叢の変化による分解促進が考えられています。血中濃度を保つためCOMT阻害薬が使われますが組み合わせとしてベンセラジドとの合剤の方が効果が高いと思います。パーキンソン病で出現する前屈姿勢や首落ち現象ではドーパミンアゴニストが関与していることもあり他剤に切り替えてみることもあります。

投稿者:KUSUat 15:12 | 日記

2021年3月1日

視覚障害の方にウオーキングストックを




脳血管障害やパーキンソン病の患者さんを診る時、歩行が不安定で転倒のリスクがある方や今後リスクが高くなる患者さんにウオーキングストックを使うように指導しています。  私も患者さんに説明するためストックを持って室内を歩いて見せるのですが、2本のストックを持つと閉眼しても室内を自由に歩くことができると分かったのです。5年前にそのことに気づいたのですが何かに利用できると最初は考えませんでした。  数年前よりニュースで視覚障害の方が駅ホームより転落する事故が繰り返し報じられています。恐らくホームを線路に沿って歩く際に1本の白杖では側方の確保が出来ない時があるのではないかと思いました。  私のウオーキングストックの経験から2本のストックを使うことで左右の確保ができると考えました。  しかし2本のストックを平行に使って歩くと丁度真ん中に細い鉄柱などがあった場合ストックで検知できないので衝突してしまいます。 この解決にはストックを斜めに使うことで検知する方法を考えました。右手のストックで左側の地面をつき、左手のストックで右側の地面をつくのです。互いに外側を回り込むようにストックをもっていくのです。その際、地面をストックで擦過するようにもっていくと地面の凹凸の情報もある程度感知できます。 またより正確な情報を得たい際は2本のストックをこれまでの1本の白杖のように頻回の触知で地面の情況を確認することもできます。2本でおこなうことで外側から内側までの自分が歩く直前の地面の確認ができます。
以上の方法を更にストックを含めて改善すれば視覚障害者の方の屋外歩行のスムーズさと安全性に寄与できるのではないかと思います。この方法を試していただける施設をさがしているところです。

投稿者:KUSUat 17:22 | 日記

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