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2021年5月23日

日本神経学会 シンポジウム本態性振戦




本態性振戦の治療  特徴は力を加えた時に振えが生じ緊張すると更に悪化します。甲状腺機能亢進症やパーキンソン病アルコール中毒など振えが出る他疾患を除外してから診断します。めずらしい病気ではなく年齢が高くなるに連れて多くなります。生命には関係ありませんが振えがひどいとコップの水をこぼしたり人に奇異に見られたりするなど生活に支障がでます。 治療は薬物療法が主体になります。推奨Aでは抗てんかん薬プリミドン、β遮断薬プロプラノロールがあります。推奨Bでは抗てんかん薬ガバペンチンやトピラマートがあります。推奨Cでは抗てんかん薬クロナゼパムがあります。一時的に使うには抗不安薬のアルプラゾラムがありますが習慣性があり頓用に限ることが大切です。プリミドンは導入時の眠気が強く極少量の25mgから始めることもあります。βブロッカーは徐脈や血圧低下で使えないこともあります。  程度が強く薬剤の効果も限界がある場合は手術療法があります。脳深部の視床腹中間核の部分の?電気刺激療法(脳深部電気刺激療法DBS)で電極埋め込み手術が行われます。同部?高周波凝固術は手技的には?と似ていますが装置は凝固後脳内には残しません。非観血的方法では?同部の収束超音波凝固術(MRgFUS)、?同部の放射線治療(ガンマナイフによる)があります。何れも両側に行うと言語障害をきたす可能性があり、両側の場合は対側はDBSということもあります。?は体の負担は少ないですが超音波が通り易くなといけないので頭部全剃毛が必要で、また頭蓋骨が緻密であるという条件が付きます。?も体の負担は少ないですが効果発現まで時間がかかることと、現時点では健康保険が使えないのが問題です。  以上はシンポジウムでの発表を要約し追加事項も入れて再構成したものです。 

投稿者:KUSUat 15:55 | お知らせ

2021年5月17日

脳神経外科コングレス 良性腫瘍の治療




良性腫瘍は急激な拡大や浸潤、転移がないことで悪性腫瘍と区別されています。しかし容積の限られた頭蓋内にできるものは大きくなると他神経組織を圧迫して生命や機能に関わるため放置できません。また小さくても重要な神経組織に接しているとその組織の機能障害を引き起こします。治療には手術をしますが放射線が効果するものもあります。聴神経腫瘍や髄膜腫で放射線治療が想定されることがあります。脳神経外科コングレスでも良性腫瘍の治療を取り上げたセッションがありました。第一選択としてほぼ薬物療法を選ぶ腫瘍に催乳ホルモン産生下垂体腺腫があげられていました。パーキンソン病治療に使われる麦角系ドパミンアゴニストでパーロデル(ブロモクリプチン)やカバサール(カベルゴリン)が使われます。腫瘍内出血で急激な腫瘍増大をきたし視神経圧迫視野障害が進行性な時を除いて薬物療法を優先するという考え方でした。やみくもに手術にこだわるのでなく経験を踏まえてより良い選択を目指すのが基本です。

投稿者:KUSUat 15:10 | 日記

2021年5月5日

変な頭痛は珍しくないのか?




変な頭痛は珍しくないのか?  分かりにくい頭痛は多数あります。可逆性脳血管攣縮症候群はクモ膜下出血や髄膜炎、髄膜症など否定出来てMRA(MR血管撮影)で脳血管攣縮を確認できれば診断確率は高くなりますが攣縮が見つけられないこともあるので困惑します。 持続性片側頭痛は経過や症状をよく見て、他疾患を否定出来てインドメタシン製剤が効果あれば一応診断がついたと言えるでしょう。しかし鎮痛剤でよく治る分かりにくい頭痛もあるので100%決めつけるのは良くありません。 鎮痛剤で良く治る頭痛に(セ)石灰沈着性頸長筋腱炎、(ク)クラウンド・デンス症候群があり以前ブログにも載せました。この二つの疾患は頸椎最上部が病変部で似たところがあります。後者は高齢に多く、前者は年齢は比較的に若いといえます。骨に比べると石灰密度が低い石灰化病変でMRIや頭部レントゲン写真での診断は困難です。第1第2頸椎を含むCTでのスライスで微妙な石灰化が検出できる画像条件を探して診断します。 先日、同じ日に(セ)と(ク)の患者さんがあり「なんで?」と思いました。一人は30代の女性で1週間前からの右後頭部痛で後頭神経の圧痛はありませんでした。頭部を回転すると痛みが強くなり鎮痛剤で改善するとのことでした。CTで第2頸椎右側前面に石灰沈着を認めました。もう一人は80代女性で1日前起床時より首が痛くて回らず整骨院で施術を受けても改善せず受診されました。CTで軸椎歯状突起後面に冠(クラウン)がかぶさるような形での石灰化を認めました。二人とも同じ鎮痛剤を処方しました。

投稿者:KUSUat 17:27 | お知らせ

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