「サイレンススズカ」という馬
ソワソワ、ワクワク。ホント楽しみです。
そんな時、懐かしい馬の名前がスポーツ紙を飾りました。
その名は「サイレンススズカ」。あの悲運の名馬です。
何故、このタイミングで、「サイレンススズカ」の名前が甦ったのか?
それは、1953年の開設以来、数々の名勝負、名馬を送り出してきた中京競馬場の開設60周年を記念して、中京競馬場で活躍した「思い出のベストホース」を決める人気投票が7/20から9/16まで行われていたのですが、その人気投票で、「サイレンススズカ」があの「オグリキャップ」を破り、1位となり、”大賞”に選出されたからでした。
みなさんは、「サイレンススズカ」という馬を知っていますか?
今週末の凱旋門賞に3歳馬で挑戦する今年のダービー馬「キズナ」に騎乗する「武豊」騎手が、その「キズナ」の父「ディープインパクト」にもし挑戦するなら、どの馬で挑戦したいですかという問いに、「サイレンススズカ」で挑戦したいと答えた馬と言われていて、「武豊」騎手が数多くの騎乗馬の中から選んだ馬、それが「サイレンススズカ」なのです。
「サイレンススズカ」も「ディープインパクト」も、伝説の種牡馬「サンデーサイエンス」の子どもなので、このタイミングで話題となったのは、「キズナ」と「武豊」騎手の「凱旋門賞」への挑戦の結果をいかにも暗示しているようにも思えますね。
「サイレンススズカ」という馬を語る場合、デビュー9戦目、初めて「武豊」騎手が騎乗し、5着となった香港競馬場での「香港国際カップ」以降から語らなければなりません。それまではまさに"普通"の馬なので、度外視が必要です。
「武豊」騎手は、「香港国際カップ」で初めて「サイレンススズカ」に騎乗した際、「サイレンススズカ」の気性を見抜き、次走以降、馬の行く気に任せた騎乗を心がけた結果、そのスピードから自然と”逃げ”の脚質となり、あの独自の"逃げ"が定着、6連勝したまま、運命の「天皇賞」を迎えるのでした。
平成は10年でしたが、運命の「天皇賞」が行われたのは平成10年11月1日、「サイレンススズカ」の馬番は1枠1番、そしてもちろん1番人気です。
あのときは、自分はもちろんですが、誰もがレース後に、ここにもうひとつの「1」(優勝)が加わることを想像していたはずです。
そして、デビュー以来最高といっていい状態でレースを迎えた「サイレンススズカ」は、抜群のスタートで快調に飛ばし、2ハロン目からさらに加速して後続を突き放したのです。タイムは前走をも上回る1,000m57秒4の超ハイペース。大逃げです。
競りかける馬は1頭もおらず、3コーナー手前では2番手に10馬身、さらにそこから3番手までが5馬身と後続を大きく引き離しました。
テレビの中継カメラは、目いっぱい引かなければすべての出走馬を映し切れない状況となっていました。
この"感じ"は、レース前から、ファン、みんなが描いていたシーンだったのです。
そして、運命の3コーナーを向かえます。どの馬より先に3コーナーに差し掛かったあたりで、「サイレンススズカ」は突然、失速します。
場内だけでなく、実況席からも”悲鳴”があがります。
「サイレンススズカ」は競走を中止。「武豊」騎手が下馬し、テレビの画面には故障した左前脚が映し出されていました。
検査の結局、"予後不良"と診断され、とても残念でしたが安楽死の処置がとられたのでした。
そのまま直線に向かえていたのなら、どれだけのタイムで、どれだけの着差で、勝利していたのでしょう?
これが、「サイレンススズカ」が悲運の名馬と言われる所以です。
結果として、G1競走は「宝塚記念」しか勝っていないのですが、その"強さ"は、まさにこれからという時だったことから、そう言われています。
自分としては「天皇賞」のステップレースとして走って6連勝した、第49回「毎日王冠」で、その"強さ"は示されていたと今でも信じています。
「サイレンススズカ」はその「毎日王冠」で、NHKマイルカップ優勝馬「エルコンドルパサー」と朝日杯3歳ステークス優勝馬「グラスワンダー」という、ともにその後、海外でも活躍する外国産馬を、3歳馬のときですが無敗で挑戦してきた2頭をねじ伏せているのです。
ただ、今さらながら思うのは、「サイレンススズカ」の子どもが走るのを見たかったなぁということです。本当に残念です。
ちなみに、「思い出のベストホース」の人気投票の結果は次のとおりで、票数はもちろん、その他の馬の顔ぶれを見ても、「サイレンススズカ」の人気のほどがわかりますね。
1位 1,402票 サイレンススズカ
2位 717票 オグリキャップ
3位 208票 タップダンスシチー
4位 170票 ハイセイコー
5位 166票 ロードカナロア
6位 151票 カレンチャン
7位 118票 ナイスネイチャ
8位 89票 キングヘイロー
9位 71票 トウショウボーイ
10位 65票 ビリーヴ
11位 53票 フラガラッハ
11位 53票 フラワーパーク
13位 52票 メジロマックイーン
14位 51票 キンシャサノキセキ
15位 50票 マチカネタンホイザ
16位 49票 ローゼンクロイツ
17位 41票 スズカフェニックス
18位 35票 オレハマッテルゼ
18位 35票 ダイタクヘリオス
20位 34票 マサラッキ
そう言えば、「サイレンススズカ」は、”競馬には絶対がない”という格言を身を持って自分に教えてくれた名馬でもあります。合掌。それでは。
<中京競馬場 思い出のベストホース>
http://jra-chukyo.jp/pc/
投稿者:森ちゃまat 23:59 | お知らせ | コメント(0) | トラックバック(2)